4 生活保護受給中の事情変更

第18.4 生活保護受給中の事情変更

● 収入を得られるようになった場合

 

Q・病気で仕事ができず、生活保護を受給して生活していました。病状が快方に向かい、少しずつアルバイトを始めています。
 生活保護にはどのような影響がありますか。

A・生活保護の支給額は、「保護基準」で計算される最低生活費の額から、収入額を差し引いた差額です(第18.1参照)。
 したがって、アルバイト収入の分だけ生活保護費は減額となります。
 このように、収入に変動があった場合には、都道府県知事などの実施機関、または福祉事務所長に届け出るものとされています。
 届出をしない場合には指導・指示の対象となり、従わない場合には、さらに生活保護が停止・廃止されることがありますので、注意が必要です。


 

● 生活保護費の貯蓄

 

Q・将来のことを考え、生活費を切り詰めて、生活保護費を貯蓄しています。
 このような貯蓄は許されますか。

A・次の要件を充たす場合には、生活保護費を貯蓄することも許されます。
 (a)生活保護開始後に貯蓄したものであること
 (b)不正な手段(たとえば、収入を申告していないなど)によって蓄えられたものではないこと
 (c)貯蓄の使途目的が、生活保護の趣旨目的に反しないこと


 

● 生活保護受給中の相続

 

Q・生活保護の受給中に父親が亡くなりました。相続人は、母親と兄弟2人です。遺産として、約400万円の預貯金と、実家の土地建物があります。
 遺産分割によって、遺産の一部を私が相続した場合、生活保護にはどのような影響がありますか。

A・何を相続するかによって違ってきますが、あなたが預貯金を相続する場合には、その金額によっては、父親の死亡後に受給した生活保護費の返還を求められる場合があり、あるいは生活保護が停止または廃止されることがあります。

Q・私はこれまで両親に迷惑を掛けたので、相続放棄も考えています。その場合はどうなりますか。

A・相続放棄の手続をとった場合には、実際には遺産は何も取得しませんので、生活保護費の返還を求められたり、生活保護が停止または廃止されることはありません。


 

● 生活保護受給者による犯罪

 

Q・生活保護を受けていますが、生活が苦しく、つい出来心で万引きをしてしまい、警察に逮捕されてしまいました。生活保護はどうなってしまいますか。

A・生活保護受給者が逮捕された場合、逮捕日の翌日付で生活保護は停止となります。
 ただし、家族がいる場合には、引き続き、逮捕された方の分を除いて算定した生活保護費が支給されます。

Q・逮捕後約20日間勾留された後、起訴されずに釈放された場合には、どうなりますか。あるいは、起訴された場合はどうですか。

A・起訴されずに釈放された場合は、停止が解除され、生活保護が再開します。
 他方、起訴された場合には、生活保護は廃止となります。
 なお、廃止となった場合でも、社会復帰した後に、改めて、生活保護の申請をすることができます。