
6 子の引渡請求
第10.6 (2)子の引渡請求②
● 人身保護請求とは
Q・子の引渡を求める方法について、家庭裁判所に審判を申し立てる以外に、人身保護法に基づく人身保護請求の方法があるというけど、どのようなものなの。
A・不法に身体の自由を拘束されている者がいて、その違法性が顕著であり、他の方法では相当期間内に救済の目的が達せられない場合に、地方裁判所または高等裁判所に、救済を申し立てる制度だよ。
● 家事審判との違い
Q・家事審判による方法とはどういう違いがあるの。
A・何よりも、手続が迅速に行われるという点だ。
人身保護請求から1週間以内に審問期日(裁判)を開き、審問終結から5日以内には判決の言渡をすることが原則とされている。
人身保護請求から1週間以内に審問期日(裁判)を開き、審問終結から5日以内には判決の言渡をすることが原則とされている。
Q・すいぶんとスピーディーね。でも、相手が裁判に出てこなかったり、子を隠したりすることが心配ね。
A・出頭命令等に応じない場合には、裁判所は、勾引や勾留などの手続をとることができることが、人身保護請求の特徴だよ。
Q・それは安心ね。それなら、家庭裁判所に審判を求めるよりも、人身保護請求をした方がいいように思うわ。
A・そうだけど、手続が強力な分、人身保護請求が認められるためには、拘束に顕著な違法性が認められる必要がある。
例えば、別居中の夫婦の場合には、両親ともに親権がある。だから、父親がある日突然、母親のもとから子を連れ去ったという場合には、父親のもとでは子の健康が著しく損なわれるとか、満足な教育を受けることができないなど、子の福祉に反することが明白でなければ、人身保護請求は認められない。
そのような例外的な場合でない限り、家庭裁判所での審判申立の方法を選択すべきとされているよ。
例えば、別居中の夫婦の場合には、両親ともに親権がある。だから、父親がある日突然、母親のもとから子を連れ去ったという場合には、父親のもとでは子の健康が著しく損なわれるとか、満足な教育を受けることができないなど、子の福祉に反することが明白でなければ、人身保護請求は認められない。
そのような例外的な場合でない限り、家庭裁判所での審判申立の方法を選択すべきとされているよ。
Q・離婚して母親が親権者となっている場合には、子を連れ去った父親に対し、人身保護請求ができるのね。
A・その場合には、拘束の違法性が顕著な場合に該当すると、最高裁判所も述べているよ。
● 人身保護請求の手続
Q・人身保護請求をするには、どうしたらいいの。
A・人身保護請求は、特別の事情がある場合を除いて、弁護士を代理人としてすべきものとされている。
なお、子(拘束されている者)に弁護士の代理人が付いていない場合は、国選代理人を付けるものとされているよ。
なお、子(拘束されている者)に弁護士の代理人が付いていない場合は、国選代理人を付けるものとされているよ。
Q・判決が出れば、相手は素直に従うかしら。
A・請求を認める判決に従わない場合には、2年以下の懲役または5万円以下の罰金と定められている。
実際には、審問の開始前に裁判所の職員が子を預っておき、判決言渡しと同時に母親に引き渡すことが多いよ。
実際には、審問の開始前に裁判所の職員が子を預っておき、判決言渡しと同時に母親に引き渡すことが多いよ。