3 労働契約法の改正

第8.3 労働契約法の改正 (2)無期労働契約への転換

● 無期労働契約への転換の方法

 

Q・平成25年4月1日以後に開始した有期労働契約については、同一の使用者との間で、通算5年間を超えて繰り返し更新した場合、労働者の申込みによって、無期労働契約に転換することができるように労働契約法が改正されていますね。
 有期労働契約の期間中に通算5年を超えた場合には、どの時点で無期労働契約に転換するのですか。

A・有期労働契約の期間中であっても、通算5年を超えた時点で、無期労働契約への転換の申込みができます。
 この場合、有期労働契約が期間満了で終了した時点で、無期労働契約へ転換します。
 なお、申込みをしないまま、さらに有期労働契約を更新した場合、その有期労働契約の途中でも、無期労働契約への転換の申込みができます。

Q・無期労働契約への転換の申込みは、書面でする必要がありますか。

A・口頭でも可能です。
 もっとも、後日の紛争を避けるためにも、書面で申込みをして、書面のコピーに受領印などをもらっておくのがよいでしょう。
 無期労働契約への転換を申し込むことを明記して、日付と自身の署名・押印があれば、特に書式に決まりはありません。


 

● 通算期間のカウント方法

 

Q・通算5年というのは、連続していなければいけないのでしょうか。

A・途中に、契約のない期間が6ヶ月以上になると、通算期間のカウントはリセットされます。
 しかし、契約のない期間が6ヶ月未満であれば、契約が途切れていても、前後の期間を通算してカウントできます。
 ※なお、前後の通算契約期間が1年未満の場合は、通算期間の半分の長さの期間(月単位。端数は切り下げ)が中断するとカウントはリセットされますので注意して下さい。

Q・例えば傷病や育児などで休暇を取り、実際に勤務しなかった場合でも通算期間にカウントされますか。
A・労働契約が続いていれば、通算期間にカウントされます。


 

● 無期労働契約への転換を導入することによる影響について

 

Q・無期労働契約へ転換するルールの導入は、雇止めの不安を解消することを目的としていますが実際に目的を達成できるのでしょうか。

A・改正労働契約法の施行に伴い、教員を除く有期労働契約職員全員について無期労働契約とする決定をした国立大学などがあるようです。
 他方で、有期労働契約を更新しないという方針を取ったり、通算の労働期間が5年になる前に雇い止めをすることを検討している会社があるという報道もあります。
 残念なことですが、使用者側の対応によっては改正の目的と逆行する結果となる場合もあるようです。
 使用者側には、労働契約法改正の目的・理念に適った対応を期待したいと思います。