1 成人の刑事事件

第7.1 成人の刑事事件 (5)裁判員制度

● 裁判員制度とは

 

Q・「裁判員制度」とは、どのような制度なのですか。

A・裁判員制度とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人の有罪・無罪、また、有罪の場合に刑はどうするか(「量刑」)を裁判官との評議によって決める制度です。

Q・どうしてこのような制度が定められたのですか。

A・以前の刑事裁判は、裁判官、検察官、弁護士という法律の専門家を中心に運営されてきました。
 しかし、専門的である反面、正確性を重視して、非常に時間がかかったり、国民から見てわかりにくかったりして、刑事裁判は身近なものとして捉えられていませんでした。
 そこで、国民が刑事裁判に参加することにより、国民に理解しやすい裁判を実現するため、裁判員制度が定められました。


 

● 対象となる事件

 

Q・具体的にはどういう事件が裁判員制度の対象となっているのですか。

A・殺人事件や放火事件、誘拐事件といった重大事件の第1審の裁判に限ります。
 以前は、こうした重大事件は3人の裁判官により審理されていましたが、裁判員制度では3人の裁判官と6人の裁判員が審理に参加します。
 1審判決に対する不服を審理する「控訴審」の事件や民事事件、少年事件は裁判員制度の対象ではありません。

Q・重大事件の審理には時間がかかると聞いています。何ヶ月も裁判員として裁判に関与しなければならないのですか。

A・確かに、以前は重大事件の審理には時間がかかっていました。しかし、裁判員制度の対象となる事件の場合、裁判が開かれる前に裁判官、検察官、弁護士が事前に協議をして争点整理をします(「公判前整理手続」といいます)。
 また、これまでは、約1ヶ月に1回のペースで期日が開かれていましたが、裁判員制度の対象となる事件では、原則として連日、期日を開くことになっています。
 したがって、長くても約1週間程度で審理を終えることになります。


 

● 選任手続

 

Q・裁判員はどうやって選ばれるのですか。

A・裁判員候補者名簿が作成され、名簿の中から事件ごとにくじで候補者が選ばれます。くじで選ばれた候補者には、原則として事件の6週間前までに裁判所から質問票が送られます。その上で、裁判所での選任期日により裁判員に選任されます。

Q・裁判員を辞退することはできますか。

A・原則としてできません。
 しかし、国民の負担が過重なものにならないようにとの配慮から、例えば、70歳以上の高齢者、学生・生徒などの他、親族の介護の必要などの事情によって辞退が認められる場合があります。
 裁判員には、法律上の義務といった制約もありますが、国民参加の制度として、是非、積極的に参加して下さい。
 裁判員制度に関しては、最高裁判所のホームページもご覧下さい。