
1 貸金業法の完全施行
第5.1 貸金業法の完全施行
● 貸金業法の完全施行
Q・以前はテレビで、幾つもの法律事務所が債務整理のコマーシャルをしていましたが、最近は少なくなりました。
何か理由があるのでしょうか。
何か理由があるのでしょうか。
A・コマーシャルが減ったのは、債務整理の相談件数が減ったからです。
平成18年12月貸金業法が改正され、平成22年6月に完全施行されたことにも関係します。
平成18年12月貸金業法が改正され、平成22年6月に完全施行されたことにも関係します。
Q・完全施行というのはどういうことでしょうか。
A・多重債務者の激増が社会問題となったのを契機に、貸金業法や関連法令が抜本的に改正されました。
ただ、その改正が、貸す側にも、借りる側にも影響が大きいため、改正法は平成19年12月から段階的に施行され、平成22年6月に完全施行となったのです。
ただ、その改正が、貸す側にも、借りる側にも影響が大きいため、改正法は平成19年12月から段階的に施行され、平成22年6月に完全施行となったのです。
Q・貸金業法の改正のポイントは、どういう点にあるのでしょうか。
A・改正点は幾つもありますが、ポイントは大きく2つです。
1つは「グレーゾーン金利の撤廃」で、もう1つは「総量規制」です。
1つは「グレーゾーン金利の撤廃」で、もう1つは「総量規制」です。
● 「グレーゾーン金利」の撤廃
Q・「グレーゾーン金利」とは何でしょうか。
A・金利については、利息制限法が利率の上限を定め(貸金額により年15~20%)、それを超す利息の約定は「無効」と定めています。
しかし、他方で、貸金業者による貸付について、貸金業法は、一定の利率(改正直前は年29.2%)を超すものだけを刑事罰の対象としていたため、「無効だけど刑事罰の対象とならない利率」というのが生じていました。これを「グレーゾーン金利」といいます。
多くの消費者金融が、この「グレーゾーン金利」を使って、ゆるい融資条件で貸付を行ったため、何社からも借金する人が増えました。
しかし、他方で、貸金業者による貸付について、貸金業法は、一定の利率(改正直前は年29.2%)を超すものだけを刑事罰の対象としていたため、「無効だけど刑事罰の対象とならない利率」というのが生じていました。これを「グレーゾーン金利」といいます。
多くの消費者金融が、この「グレーゾーン金利」を使って、ゆるい融資条件で貸付を行ったため、何社からも借金する人が増えました。
Q・それで多重債務者が激増したのですね。
A・そのため、貸金業法上も、金利の上限を年20%と定めて、「グレーゾーン金利」を撤廃する改正が行われました。
それ以上の金利は刑事罰の対象となるので、貸金業者も高い金利での貸付ができなくなった、というわけです。
それ以上の金利は刑事罰の対象となるので、貸金業者も高い金利での貸付ができなくなった、というわけです。
● 「総量規制」
Q・もうひとつの「総量規制」というのは、どういうことでしょうか。
A・「総量規制」というのは、借りる側の個人の年収を基準に、貸金業者から借入れができる総額を規制するものです。
Q・具体的には、どのように規制しているのでしょうか。
A・借入れができる総額は、借主の年収の3分の1までとされました。
したがって、年収600万円の人は、その3分の1の200万円を超えて貸金業者から借金することはできなくなったのです。
したがって、年収600万円の人は、その3分の1の200万円を超えて貸金業者から借金することはできなくなったのです。
Q・そうすると、一定の年収がないと借金もできないのですね。
A・そういうことになります。
ただし、貸金業法が適用される貸金業者とは、消費者金融やクレジット会社をいい、銀行や信用金庫、労働金庫、農協等の金融機関は含まれません。ですから、銀行等からの住宅ローンや自動車ローンは、総量規制の適用を受けません。
また、クレジットカードを使った場合でも、キャッシングは貸金業法の対象になりますが、ショッピングは対象になりません。
さらに、配偶者の年収もあわせて、借入上限を決めることもできるとされています(配偶者貸付制度)。
ただし、配偶者貸付制度を使うには、配偶者の同意書が必要ですし、その制度を利用すると、配偶者の借入額も制限されることになります。
ただし、貸金業法が適用される貸金業者とは、消費者金融やクレジット会社をいい、銀行や信用金庫、労働金庫、農協等の金融機関は含まれません。ですから、銀行等からの住宅ローンや自動車ローンは、総量規制の適用を受けません。
また、クレジットカードを使った場合でも、キャッシングは貸金業法の対象になりますが、ショッピングは対象になりません。
さらに、配偶者の年収もあわせて、借入上限を決めることもできるとされています(配偶者貸付制度)。
ただし、配偶者貸付制度を使うには、配偶者の同意書が必要ですし、その制度を利用すると、配偶者の借入額も制限されることになります。
● 完全施行によっても、債務超過の問題は残る
Q・そのような改正の影響もあって、債務整理の相談件数が減ったのですね。
A・はい。ただ、現在も多重債務に苦しんでいる人は、100万人単位でいるといわれています。
貸金業法改正前からの借金が続いている人もいますし、利息制限法の枠内とはいっても、その利率は決して低いとはいえません。
債務整理の必要性は、今も変わりません。
貸金業法改正前からの借金が続いている人もいますし、利息制限法の枠内とはいっても、その利率は決して低いとはいえません。
債務整理の必要性は、今も変わりません。