
1 相続
第1.1 相続 (2)遺産分割・特別受益・寄与分
● 遺産分割協議
Q・先日、夫が他界しました。夫の遺言はありません。相続による遺産の名義変更は、どのようにするのですか。
A・法律で決められた相続人(「法定相続人」)全員の協議によって、どの相続人が、どの遺産を、どの割合で、相続するかを協議して決めることになります(「遺産分割協議」)。
その場合、各自の相続分を基準として分割することになりますが、必ずしもその割合にこだわる必要はなく、全員の協議で、自由に分割することができます。
その場合、各自の相続分を基準として分割することになりますが、必ずしもその割合にこだわる必要はなく、全員の協議で、自由に分割することができます。
Q・遺産分割の協議をする方法に、何か決まりはありますか。
A・協議といっても、必ずしも全員で集まる必要はありません。
電話やメール、手紙など、自由に話し合いを進めて頂いて結構です。
最終的に、話し合いがついた内容を、「遺産分割協議書」として作成し、相続人全員が署名・押印(実印)し、印鑑証明書を添付します。
この遺産分割協議書に基づき、不動産の名義変更や、預金の解約手続きなどを行うことになります。
電話やメール、手紙など、自由に話し合いを進めて頂いて結構です。
最終的に、話し合いがついた内容を、「遺産分割協議書」として作成し、相続人全員が署名・押印(実印)し、印鑑証明書を添付します。
この遺産分割協議書に基づき、不動産の名義変更や、預金の解約手続きなどを行うことになります。
Q・遺産分割協議は、いつまでにしなければならないのですか。
A・特に、期限があるわけではありません。不動産の名義変更や預貯金の解約などにも期限はありません。
しかし、いつまでも放置しておくと、新たな相続が発生して相続人の数が増え、話がつきにくくなったり、また、時効で権利を失ってしまうケースも考えられますので、早めに手続きをしておくべきでしょう。
なお、相続税の申告を必要とする場合には、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内が申告期限とされているので、ご留意下さい。
しかし、いつまでも放置しておくと、新たな相続が発生して相続人の数が増え、話がつきにくくなったり、また、時効で権利を失ってしまうケースも考えられますので、早めに手続きをしておくべきでしょう。
なお、相続税の申告を必要とする場合には、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内が申告期限とされているので、ご留意下さい。
● 借金(相続債務)の分割協議
Q・夫には、住宅ローンが残っているほか、銀行に幾らかの借金があります。これらについても、誰が相続するかを決めることは可能でしょうか。
A・住宅ローンについては、生命保険で残額が支払われるケースが多いと思います。
その他の借金についても、預金などから先に完済することを前提として、遺産分割協議を行うケースが多いのではないでしょうか。
協議により、相続人の1人だけが相続債務を負担すると取り決めることも可能です。しかし、法律上は、遺産分割の内容にかかわらず、借金は各相続人が、相続分に応じて引き継ぐものとされていますので、注意が必要です。
その他の借金についても、預金などから先に完済することを前提として、遺産分割協議を行うケースが多いのではないでしょうか。
協議により、相続人の1人だけが相続債務を負担すると取り決めることも可能です。しかし、法律上は、遺産分割の内容にかかわらず、借金は各相続人が、相続分に応じて引き継ぐものとされていますので、注意が必要です。
● 特別受益
Q・相続人の1人が、被相続人から生前贈与を受けていたような場合、遺産分割協議において、どのように考慮されますか。
A・その場合には、相続人間の公平を計るため、生前贈与を受けた金額について、相続の前渡しがあったものとして扱われます(特定の遺産について、遺言で一部の相続人に遺贈がなされたような場合も同様です)。
具体的には、相続分の計算に際し、生前贈与を受けた金額を相続財産に加算し(これを「みなし相続財産」といいます)、その上で、各自の法定相続分を計算します(計算上の相続分)。
生前贈与を受けた相続人については、その計算上の相続分から、生前贈与を受けた金額を差し引いたものが、遺産分割による実際の取得分となります。
具体的には、相続分の計算に際し、生前贈与を受けた金額を相続財産に加算し(これを「みなし相続財産」といいます)、その上で、各自の法定相続分を計算します(計算上の相続分)。
生前贈与を受けた相続人については、その計算上の相続分から、生前贈与を受けた金額を差し引いたものが、遺産分割による実際の取得分となります。
Q・例えば、被相続人である夫の相続財産が1600万円、相続人が妻と長男、次男、長女の3人で、長男が200万円の生前贈与を受けていたというケースでは、遺産分割による各自の相続分はどのように計算されますか。
A・1600万円の相続財産、長男が生前贈与を受けた200万円を加えた1800万円が相続財産とみなされます。
妻の相続分は2分の1の900万円、3人の子の相続分は各6分の1の300万円となります。
長男も計算上は300万円となりますが、すでに200万円の生前贈与を受けていますので、その分を差し引いた100万円が今回の相続分となります。
妻の相続分は2分の1の900万円、3人の子の相続分は各6分の1の300万円となります。
長男も計算上は300万円となりますが、すでに200万円の生前贈与を受けていますので、その分を差し引いた100万円が今回の相続分となります。
Q・どういったケースが生前贈与になるのですか。
A・結婚の際の持参金や嫁入り道具、子が商売を始めるにあたって資金を提供した場合、さらには独立して生活をするにあたって土地や建物をあげたといったようなケースがあります。
● 寄与分の制度
Q・相続人の一人が、被相続人の生活の世話や病気の看護をしてきたり、また、被相続人の商売について、一切給料ももらわずに手伝ってきた、などといった場合には、多めに相続できないでしょうか。
A・相続人が家業を手伝い、また、被相続人の療養看護に努めた結果、被相続人の財産が増加したとか、財産の減少を防ぐことができたといったような特別の功労が認められる場合には、多めに相続することができます(これを「寄与分」といいます)。
寄与分として認められるためには、それが「特別」の功労であることが必要です。
もっとも、家業を手伝ったり、生活の面倒を見たというだけで、認められるわけではありませんので、注意が必要です。
寄与分として認められるためには、それが「特別」の功労であることが必要です。
もっとも、家業を手伝ったり、生活の面倒を見たというだけで、認められるわけではありませんので、注意が必要です。