法律相談Q&A 
第27.〈トピック〉賃貸借契約の更新料に関する最高裁判例

第27.〈トピック〉賃貸借契約の更新料に関する最高裁判例

● 賃貸借契約の更新料に関する最高裁判例

 

Q・平成23年、アパートなどの賃貸借契約の「更新料」について、最高裁が初判断を示したことが大きなニュースになっていましたね。

A・はい。
 契約更新の際に、借主が貸主に更新料を支払うケースは少なくありません。更新料の額によっては、借主の大きな負担となります。
 この更新料をとる契約は有効なのか、それとも無効なのかが争われた裁判で、最高裁は“原則として有効”という判断を示しました。

Q・裁判で争われたのは、どのような事案だったのですか。

A・京都市の大学生が、マンションの1室を月額3万8000円で借りましたが、契約書では、契約期間は1年で、契約更新の際には家賃2ヶ月分の更新料がかかるとされていました。

Q・えっ!大学に通う僅か4年間に、3回も、そんな高額の更新料を支払う契約なんてあるのですか。
 東京では、2年間の更新ごとに家賃1ヶ月分の更新料を支払う契約内容が多いので、それと比べると非常に高額です。
 そのような更新料が有効というのは、おかしくないですか。

A・この京都市の事例では、第1審の地裁、第2審の高裁ともに、更新料の契約は「無効」と判断していました。
 しかし、他の同種の裁判では、地裁・高裁などの下級審では、「有効」「無効」の判断が分かれていました。
 それら他の同種の裁判を含めて、今回の最高裁は、更新料を“原則有効”と判断して、この争いに決着をつけました。


 

● 消費者契約法に違反するか否かが争われた

 

Q・つまり、1年ごとに家賃2ヶ月分の更新料を支払う契約でも有効というのですか。納得がいかないですね。
 更新料をとるケースは、かなり以前からあったと思いますが、なぜ、最近になって裁判で争われたのですか。

A・平成13年4月に「消費者契約法」が施行されたことによります。
 消費者契約法は、事業者と消費者との間の情報の質及び量、並びに交渉力に著しい格差(事業者が圧倒的に有利)があることに鑑み、弱い立場にある消費者の利益が不当に害されることのないように、消費者の保護を図ることを目的に制定された法律です。
 消費者契約法第10条は、“消費者の利益を一方的に害する契約の条項は無効”としています。
 たとえ賃貸借契約書に更新料の定めが明記されていたとしても、借主には“交渉する力”がないのが通常であり、その利益を一方的に害しているから無効ではないか、が争われたのです。

Q・しかし、最高裁は、消費者契約法には反しないと判断したのですね。

A・最高裁は、更新料について、家賃の補充や前払い、賃貸借契約を円満に継続するための対価、などといった複合的な性質を持つものとして、更新料を受け取ることについては合理性があるとしました。
 そして、更新料の存在は一般に広く知られ、契約書にも明記されており、貸主と借主が明確に合意している場合に、両者の間で情報や交渉力に大きな格差はないとして、消費者(借主)の利益を一方的に害するものでもない、と判断しました。

Q・それにしても、京都市の事例はあまり納得がいきませんね…
 どのような場合でも、更新料をとる契約は有効なのですか。

A・必ずしも、そうではありません。
 最高裁は、更新料の額が、賃料の額、賃貸借が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなど特段の事情がある場合には、消費者契約法第10条に違反する場合があるとも述べています。


 

● 今後、注意すべきこと

 

Q・今後はどのようなことに注意すれば良いですか。

A・すでに賃借している方は、契約書に更新料の条項があるかどうかチェックし、ある場合には、その内容が高額ではないか等をよく把握しておきましょう。
 そもそも、更新料の条項がない場合には、更新料の支払義務はありません。
 これから契約を締結する方は、契約書を事前によくチェックすることです。
 高額な更新料の定めや、その他、心配な条項があれば、仲介の不動産業者によく説明してもらうなど、納得の上で契約をして下さい。
 なお、賃貸借契約の更新料については、地域によって差があり、関東(特に首都圏)や京都府は、更新料が設定されていることが多いようです。
 契約について不明、心配な点がある場合には、弁護士などの専門家に相談することも大切です。