第25.弁護士会の人権救済申立制度

第25.弁護士会の人権救済申立制度

● 人権救済申立制度とは

 

Q・弁護士会の「人権救済申立制度」とはどのような制度ですか。

A・特定の人権侵害がある場合に、弁護士会に対し、その救済を申し立てる手続です。
 申立を受けた弁護士会は、調査を行い、人権侵害の事実が認められる場合には、人権侵害行為をした機関等に対し、これを是正するように求めます。

Q・実際に、どのような人権侵害のケースで、弁護士会による是正措置が取られたことがありますか。

A・例えば、障害福祉サービスについて区が行った決定や、教員に対する事情聴取を行った際の教育委員会の対応、刑事施設における被収容者への対応について、人権侵害があるとして、弁護士会が警告を発したケースがあります。
 詳しくは弁護士会のホームページをご覧下さい。
 日本弁護士連合会HP
 東京弁護士会HP


 

● 申立の方法

 

Q・人権救済の申立の方法について教えて下さい。

A・申立は必ず書面で行う必要があります。
 書面の提出先は、最寄りの弁護士会の人権課窓口です。郵送することも可能です。
 例えば、東京弁護士会では、窓口で希望者に書式を配布していますが、特に定まった書式はありません。
 なお、申立費用はかかりません。

Q・申立書には、どのようなことを記載すればよいのですか。

A・なるべく具体的に、いつ、誰に対して、誰(団体、機関等)によって、どのような人権侵害がなされたかが分かるように記載して下さい。
 また、そのような人権侵害行為について、あなたとしてどのように対処してもらいたいと考えているのか、についても記載して下さい。
 その他、申立年月日、あなたの住所・氏名・電話番号・生年月日・職業、また、相手方(人権侵害行為をした機関等)の名称・住所・電話番号などを分かる範囲で記載して下さい。


 

● 人権侵害が認められた場合

 

Q・弁護士会が調査した結果、人権侵害行為があったと判断された場合には、どのような措置が取られるのですか。

A・その侵害行為の内容・程度によって、警告・勧告・要望などの措置が取られます。

Q・それらの措置が取られることにより、どのような効果が期待できますか。

A・警告等によって、何らかの法的な効果が発生したり、何らかの強制力が働くということはありません。
 しかし、弁護士会が警告等の措置をとったという事実は重大であり、それが報道され、また弁護士会のホームページ上でも公開されますので、警告等を受けた機関・団体等において、自発的な改善措置がとられることが期待できます。


 

● 今後の課題

 

Q・人権救済申立制度の課題は何ですか。

A・弁護士会としても迅速な対応を心がけてはいるものの、事柄の性質上、どうしても調査に時間がかかってしまうという実情があります。
 また、警告等の措置に強制力がないという点も課題です。 
 しかし、身近な人権侵害については、決してこれを見過ごすことなく、まず声を上げていくことが大切です。
 また、人権救済申立制度は、個別のケースの人権救済を目指す一方で、人権に対する社会の関心を高めていくことを目的としています。
 人権に対する社会の関心が更に高まっていけば、人権救済申立制度の効果も自ずと大きくなり、その実効性も強まることが期待できます。
 まさに人権救済申立制度は、弁護士会が、市民とともに手を携えて、人権保護のために立ち向かっていくための制度なのです。