法律相談Q&A 
3 法定利率変更の議論

第24.3 法定利率変更の議論

● 法定利率とは

 

Q・債権法の基本的ルールについて、「法定利率」を年3%に変更することが検討されているとのことですが、そもそも法定利率とはどのようなものですか。

A・例えば、借金を返済期日までに返済しなかった場合や、アパートの家賃を決められた期日までに支払わなかった場合には、過ぎた期間に応じて「遅延損害金」が発生します。
 その遅延損害金の割合が、契約書で定められている場合には、その定められた利率にしたがって遅延損害金が計算されます。
 しかし、そのような定めがない場合には、民法が規定している法定利率によって、遅延損害金が計算されます。

Q・民法では、どのように法定利率が規定されているのですか。

A・現在の民法では、年5%と定められています。

Q・貸金の場合、利息制限法が定める上限利息が年15~20%であることと比べれば、年5%は決して高くないようにも思われますが。

A・かつて日本経済が成長している時代には、公定歩合が年5%を越えていた時期もありました(現在は0.3%)。
 しかし、その後低金利時代に入り、今では銀行に定期預金を預けても、利息は年1%もつきません。
 年5%でも、世の中の実情にそぐわなくなっていることから、今回の債権法改正では、変動金利制の導入などの検討がなされています。


 

● 法律実務にも大きな影響が

 

Q・遅延損害金の額が変化することで、私たちの身近な問題で、何か影響することはありますか。

A・例えば、交通事故によって死亡したというケースでは、“将来にわたり労働によって得られたであろう利益”を損害として請求することができます。
 この損害を「逸失利益(いっしつりえき)」といいます。
 死亡事故ではなくても、事故による後遺症が残ったというケースでは、それにより労働能力に一部制約が生じる場合には、その制約された一部について、逸失利益の請求ができます。
 法定利率の変更は、この逸失利益という損害額の算定にも影響します。

Q・どういうことですか。

A・この逸失利益は、将来にわたる労働によって得られる利益を、現時点において計算し、損害として先払いしてもらうというものです。
 したがって、その計算に際しては、先払いしてもらった金額を法定利率で運用することを前提に、将来の時々に本来もらうべき金額となるように計算するものとされています。

Q・そのような計算方法をとると、先払いしてもらう金額の方が、将来の時々に本来もらうはずの金額を単純に合計したよりも、当然、低くなりますね。

A・そのとおりです。
 その、法定利率で運用することを前提に、先払いしてもらう金額を計算(これを「中間利息の控除」といいます)する方法として、お聞きになったことがあると思いますが、「ライプニッツ式」や「ホフマン式」という計算方法を用います。
 先払いしてもらう金額を、5%で運用することを前提に計算する場合と、それより低い利率で運用することを前提に計算する場合とでは、低い利率で計算した方が、先払いの金額は高くなります。

Q・法定利率が下がれば、逆に、逸失利益については、損害賠償請求額が増額となるのですね。

A・そのとおりです。
 今回の債権法改正では、被害者救済という観点からも、現在の5%は、昨今の社会状況に照らし高すぎるとして、見直しを求める意見が多くあがっています。