4 競売開始決定が届いたら

第20.4 競売開始決定が届いたら

● 競売開始決定が届いた!どうしたらいい?

 

Q・10年前に住宅ローンを組んで自宅を購入したのですが、失業し、ローンの支払いを何か月も滞納してしまいました。そうしたところ、先日、裁判所から「競売開始決定」が届きました。
 「競売」とは、どのような手続をいうのですか。

A・競売は、裁判所が不動産を公に売りに出し、最も高額の値を入札した人に売却し(「落札」といいます)、その代金から債権者(抵当権者)等に優先的に配当を行うという手続です。


 

● 早ければ約半年で手続が終わることもある

 

Q・今後、競売の手続はどのように進むのですか。

A・通常、競売開始決定通知を受けとってから約1~2か月後に、裁判所の執行官が「現地調査」に訪れ、不動産の「評価」を行います。
 その約3~4か月後、裁判所から「期間入札の通知」が届きます。この通知には、不動産の最低売却価格や、売却のための入札期間などが記載されています(入札期間は、通知から約2~3か月後となります)。
 入札期間が経過し、落札者が出た場合、約1か月後には、不動産の所有権が落札者に移ることになります。

Q・そうしますと、競売開始決定から1年以内には、私たちは自宅から出て行かなければならなくなるのですね。

A・そうなります。最近では、約半年くらいで手続が完了する場合もありますので、ゆっくりはしていられません。


 

● 任意売却をすることもできる

 

Q・私たちの家を購入したいという人がいます。競売手続が始まると、もう自由に売却はできないのでしょうか。

A・競売の手続中でも、競売を申し立てた抵当権者等の了解があれば、ふつうに売却することが可能です。(競売に対し、これを「任意売却」といいます。)
 任意売却が成立すれば、競売手続は取下げにより終了します。


 

● 任意売却のメリットは?

 

Q・競売手続きが進んでいるのに、任意売却をするメリットは、どこにあるのですか。

A・一番のメリットは、競売手続と比べて、高い価格で売却できる場合が多いことです。
 高く売却できれば、それだけ残ったローンの金額を減らすことができ、時には完済して、余剰が生じる場合だってあり得ます。

Q・その他に、どのようなメリットがありますか。

A・ローン残額が売却価格を上回る、いわゆるオーバーローンの場合でも、抵当権者との交渉により、「引っ越し代」が出る場合がありますので、自分で転居の計画を立てやすいということが言えるでしょう。


 

● 競売手続が完了しても、債務が残る場合には注意を!

 

Q・競売手続が完了すれば、住宅ローンはなくなるのですか。

A・落札金額がローン残額に満たない場合は、競売手続が完了したとしても、ローンが残ることになります。
 その場合は、当然、連帯保証人の債務も残ることになるので、注意が必要です。
 このような場合は、債務整理の手続をとる必要があります。