法律相談Q&A 
2 短期間のうちの権利行使等を要する例

第19.2 短期間のうちの権利行使等を要する例

● 不法行為に基づく損害賠償請求権

 

Q・交通事故等の被害に遭った場合の損害賠償請求権について、消滅時効期間はどうなっていますか。

A・交通事故のように、相手の不法行為に基づく「損害賠償請求権」は、被害者が「損害」及び「加害者」を知ったときから、3年で「消滅時効」にかかるとされています。
 交通事故被害の場合、通常は、事故に遭った時から3年となります。

Q・例えば、ひき逃げのような加害者が判明していないようなケースではどうなのでしょうか。

A・そのような場合は、「損害」を知っても、「加害者」を知りませんので、加害者が誰であるかが判明するまで、3年の計算は始まりません。

Q・加害者が判明するまでは、いつまでも権利行使が可能ということですか。

A・いつまでも、というわけにはいきません。
 不法行為の損害賠償請求権の場合、3年という「時効期間」とは別に、20年の「除斥期間(じょせききかん)」という制度が定められています。
 3年の消滅時効にはかからなかったとしても、不法行為の時から20年間何も権利行使しなければ、権利は消滅するとされています。


 

● 消滅時効と除斥期間

 

Q・「消滅時効」と「除斥期間」の違いは何ですか。

A・一定の期間が経過すると権利が消滅するという点では共通しています。
 しかし、「消滅時効」の場合は、相手の「承認」や、裁判・調停の提起によって、時効が「中断」するのに対し、「除斥期間」には「中断」は認められないなどと説明されています。


 

● 離婚に伴う慰謝料請求権、財産分与請求権

 

Q・離婚の際の慰謝料請求権には、権利行使に期間制限はありますか。

A・慰謝料請求権というのは、精神的損害に対する損害賠償請求権のことです。
 したがって、不法行為に基づく損害賠償請求権として、3年の「消滅時効」にかかります。
 3年は離婚が成立した時から計算が始まります。


 

● 離婚に伴う慰謝料請求権、財産分与請求権

 

Q・消滅時効を「中断」させておけば安心というわけですね。

A・「中断」後は、新たな時効期間の計算が始まりますので、あと10年は消滅時効の心配はありません。

Q・離婚に伴う財産分与請求権はどうですか。

A・協議による財産分与であれば期間制限はありませんが、協議が調わず、家庭裁判所による財産分与を請求する場合については、離婚後2年の「除斥期間」で請求権が消滅するとされています。
 2年以内に権利行使し、場合によっては調停・裁判を提起するなどが必要です。


 

● 遺留分減殺請求権

 

Q・遺留分減殺請求権には、権利行使に期間制限はありますか。
 ※「遺留分」とは、兄弟姉妹以外の相続人(子、親、配偶者など)が、最低限確保できる相続財産に対する一定の権利をいいます。

A・被相続人が死亡した事実と、自分の遺留分が侵害されている事実を知ってから1年で「消滅時効」にかかります。
 また、それらを知らなかったとしても、相続開始後10年を経過すると、「除斥期間」が経過したとして、権利は消滅します。


 

ご相談の場では、“もう少し早く相談にお越しになっていれば、権利を失わずに済んだのに”と悔やまれるケースがあります。
 権利等の内容によっては、比較的短期間の「消滅時効」や「除斥期間」が定められていますので、くれぐれもご注意下さい。