2 生活保護を受けるための要件

第18.2 生活保護を受けるための要件 (1)4つの要件

● 4つの要件

 

Q・生活保護を受けるための要件は何ですか。

A・生活保護を受けるための要件は4つ。
 【A】日本国民または一定範囲の外国人であること
 【B】保護を要する状態であること
 【C】能力・資産の活用がなされていること
 【D】生活保護申請がなされたこと
 です。
 これ以外に要件はありません。
 たとえば、定まった住所の有無、借金の有無、公共料金の支払いの有無といったものは、生活保護を受けるための要件とは関係ありません。


 

● 生活保護を受給できる外国人とは

 

Q・一定範囲の外国人とは,どういう外国人をいうのですか。

A・たとえば、
 (1)難民認定を受けている外国人
 (2)特別永住者の資格をもつ外国人
 (3)日本人の配偶者である外国人
 などです。


 

● 保護を要する状態は「世帯」単位で判断

 

Q・要件【B】の、「保護を要する状態」とは、具体的にはどのような状態をいうのですか。

A・前回解説した「健康で文化的な最低限度の生活」の基準となる「保護基準」を下回る状態をいいます。
 具体的には、「世帯」を単位として、世帯の収入から一定の控除がされた「認定収入額」が、保護基準を下回る状態にあることをいいます。


 

● 稼働能力や資産を活用していることが必要

 

Q・要件【C】の関係では、いろいろな問題が生じそうですね。
 たとえば、40代男性が、働くために就職活動を続けていますが、今の時代、なかなか働き口がありません。
 日々の生活に困窮し、やむなく生活保護の申請に行ったところ、「働ける年齢なので、保護は受けられません」と窓口で言われた、といった話はよく聞きます。
 この場合、生活保護は受けられないのでしょうか。

A・働けるにもかかわらず、働かないで生活保護を受けるというのは、生活保護制度の趣旨に反します。
 働こうとする努力をしているのか否かが問われます。
 具体的には、
 (1)働くことが客観的に可能なのか否か
 (2)働こうとする意思があるのか否か
 (3)実際に働き口がないのか否か
 という点から判断がなされます。
 40代であったとしても、身体の障害などによって、仕事が限られ、働き口がないという場合もあるでしょう。
 そのような個々の事情を考慮もしないで、行政側が、ただ単に「働ける年齢である」との理由だけで、保護が受けられないという応対をしていたとすれば、それは極めて問題です。
 このような対応をされた場合には、弁護士にご相談下さい。