5 請負契約・住宅ローンへの影響

第17.5 請負契約、住宅ローンへの影響

● 建築請負契約への影響

 

Q・住宅新築中に震災に遭い、新築中の家屋が倒壊・流失した場合、建築請負代金の支払いはどうなりますか。

A・請負契約は、仕事の完成・引き渡しによって請負代金の支払い義務が生じるとされています。
 したがって、完成前に倒壊・流失した場合でも、改めて業者に建築を求め、その完成・引き渡しに対し、当初の請負代金を支払うことで足ります。
 (※この点は、建物の建築請負契約の場合に限りません)。
 しかし、建物の建築請負契約の場合、契約書で、自然災害による倒壊等の負担は注文者が負うと定められている場合が多いと思います。
 その場合には、注文者がそれまでの請負代金についても支払う必要が生じますので、請負業者とよく相談してみてください。


 

● 住宅ローンへの影響

 

Q・居住中の家屋が震災で倒壊・流失してしまいましたが、まだ住宅ローンが残っている場合、ローンの支払いはどうなりますか。

A・その場合でも、住宅ローンの支払い義務は残ってしまいます。
 地震保険に加入している場合は、保険金が住宅ローンに充当されますが、それでもローンが残れば、支払う必要があります。
 多くの住宅ローンでは、支払い猶予や、支払い金額・期間の変更等の相談に応じていますので、まずは各住宅ローン会社にご相談ください。

Q・新たに住宅を新築するには、二重に新たな住宅ローンを組むしかないのでしょうか。

A・自治体の融資制度や被災者生活再建支援法による補償制度(第17.2参照)の利用が考えられます。    
 しかし、この場合、支援金などが手元に残らなかったり、不足分については二重ローンを組まなければなりません。
 そこで、被災ローン減免制度の利用が考えられます。

Q・被災ローン減免制度とはなんですか。

A・支援金や弔慰金などに加えて預貯金500万円までを手元に残し、返済しきれないローンは免除される制度です。
 この制度は、自然災害によって住宅や勤務先、事業所などが被害を受けたため、住宅ローンや、自動車ローンなどが返せなくなった人、あるいは返せなくなる見通しの人が利用できます。

Q・保証人に迷惑をかけたり、今後融資を受けられなくなったりはしないのですか。

A・被災ローン減免制度を利用する場合、原則として保証人にローンの支払いを請求しないことになっています。
 また、いわゆるブラックリストに登録されないので、新しいローンを組むことができなくなるということもありません。

Q・どのような手続きを経て減免されるのですか。

A・まず、最も多額のローンを借りている金融機関に申し出ます。
 その金融機関が同意をすれば、地方弁護士会などを通じて、無料で弁護士の支援を受けられます。
 その後、弁護士の支援を受けて、金融機関に必要な書類を提出し、返済額や免除額を協議します。
 借入先すべての同意を得た上で、簡易裁判所に申し立てて、内容を確定して、減免してもらえます。