法律相談Q&A 
2 発信者の特定

第16.2 発信者の特定

● IPアドレスによる発信者の特定

 

Q・大学の入試問題が、インターネット上の掲示板に投稿されるという事件が報道されています。
 予備校生がすぐに逮捕されましたが、どのように投稿者を特定したのですか。

A・インターネットにアクセスして、掲示板に記事を投稿する場合、投稿者側(発信者)から掲示板側に情報が送られます。
 その際、掲示板側は、記事のデータとともに、発信者の「IPアドレス」という、インターネット上の住所のデータを受け取り、記録しています。
 このIPアドレスを元に、発信者を特定したのです。

Q・そのIPアドレスは、パソコンや携帯電話ごとに存在するのですか。

A・いいえ。そうではありません。
 IPアドレスは、利用者が加入するプロバイダ(インターネット接続業者)が持っています。
 それを、利用者がインターネットに接続するたびごとに、1つのIPアドレスを、プロバイダが利用者に一時的に割り当てるのです。


 

● インターネットへのアクセス時刻が鍵を握る

 

Q・そうすると、IPアドレスが分かっただけでは、それが誰かまでは直ちには分からないのですね。
 では、どうやって、IPアドレスから発信者を突き止めるのですか。

A・インターネットへのアクセス時刻と、IPアドレスの組合せで、発信者を特定することができるのです。
 今回の問題を例に説明します。
 (1)まず、入試問題が投稿された掲示板を管理するヤフー株式会社から、発信者のIPアドレスと、そのアクセス時刻の情報を入手します。 
 ここでは仮に、IPアドレスを「100」、アクセス時刻を「平成23年3月3日3時3分3秒」としましょう。
 (2)次に、このIPアドレス「100」を持つプロバイダを探します。
 これは、「WHO IS」という、専用の検索エンジンで検索することができます。
 その結果、このIPアドレスは、NTTドコモが持っていることが分かりました。
 (3)そして、最後に、NTTドコモで、「平成23年3月3日3時3分3秒」に、IPアドレス「100」を割り当てた端末(本件では携帯電話)を調べれば、その端末の契約者が判明するという次第です。


 

● 利用者は責任ある言論を

 

Q・インターネットの掲示板は、匿名で、何を書き込んでも大丈夫と思っていましたが、完全な匿名ではないのですね。

A・もちろん、プロバイダには守秘義務がありますので、発信者のIPアドレス等が、簡単に開示されることはありません。
 しかし、捜査機関による照会や、名誉毀損、プライバシー侵害が明白であるなどといった、「プロバイダ責任制限法」に定められた要件にあてはまる場合には、発信者の情報が開示されることになります。 
 インターネット上での言論も、憲法が定める表現の自由が及びますが、同時に、利用者は責任ある言論を心がけなければなりません。