1 インターネット上の詐欺・悪質商法

第16.1 ネット上の詐欺・悪質商法

● 被害に遭わないための「予防」が第一

 

Q・インターネットやメールなどを手段とした詐欺や悪質商法被害に遭ってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

A・インターネットの情報や、相手から来たメールなどを保存、印刷し、まずは、お近くの消費生活センターや警察に相談して下さい。
 時間がたてばたつほどトラブルの解決は難しくりますので、できるだけ早く相談することです。
 しかし、インターネットやメールなどの手段を用いた詐欺や悪質商法の場合、相手の特定が困難であったりするケースが多く、被害回復が困難な場合が多いというのが実情です。
 したがって、何よりも、被害に遭わないための予防が大切です。

Q・こうした被害に遭わないためには、どうすればよいのでしょうか。

A・まずは、詐欺や悪質商法の手口を知っておくことです。
 また、そうした際の対処法を知っておくことも重要です。そうすれば、「おかしいな」と気づくことができますし、そうした手口に直面したときに、慌てずにすむからです。


 

● 架空請求

 

Q・そうですね。具体的な手口と、その対処方法を教えて下さい。

A・まず、インターネットの利用料金などの名目で、金銭を請求してくる「架空請求」があります。
 突然、金銭を請求するメールが送られてきて、「すぐに払わないと身辺調査を開始する」などと言ってきます。

Q・インターネットは毎日のように利用していますので、そのような請求があると、何か利用料金が掛かることをしてしまったのかと、一瞬戸惑いますね。

A・そのような場合は慌てずに、よく請求文書を見て下さい。架空請求の場合には、「○○様」という宛名がなく、請求者の電話番号のみで住所の記載がない、といった特徴があります。宛名がないのは、相手が機械的に、同じ内容の文書を、多数の人に送信しているからです。また、住所の記載がないのは、会社の実態がないか、住所を知られたくないことを示しています。
 このような請求がきちんとした根拠のあるものとは考えにくいでしょう。

Q・そのようなメールが来たらどうしたら良いですか。

A・相手にせず無視することです。身辺調査など行われることもありません。
 不安であれば、警察や消費生活センターに連絡して下さい。


 

● ワンクリック料金請求

 

Q・インターネット上のホームページをクリックすると、「ご入会ありがとうございます」「登録が完了しました」などという表示とともに、会費を口座に振り込むよう請求されるケースがあります。
 有料と分かっていればクリックすることはなかったのですが、お金を支払う必要はあるのでしょうか。

A・いわゆるワンクリック料金請求です。
 しかし、ワンクリックしただけでは、民法や電子消費者契約法に照らして契約の成立は認められませんので、請求に応じる必要はありません。
 また、携帯電話端末のホームページ上でクリックしたような場合、業者がこちらの位置情報や、携帯電話の個体識別情報を把握したという内容の画面が表示される場合もあります。
 しかし、そのような情報からあなたの個人情報が漏れることはありませんので、あわてて業者に連絡したりしないようにしましょう。

Q・誤ってワンクリックしてしまった場合には、どうすればよいのでしょうか。

A・この場合も架空請求と同様、無視することです。


 

● 内職商法

 

Q・その他、どのような手口がありますか。

A・これは必ずしもインターネットに限らないのですが、一定の研修や試験をクリアすれば仕事を紹介するという売り文句で勧誘してくる内職商法という悪質商法があります。
 消費者に高額の教材を購入させることを目的としたもので、実際には仕事を紹介しなかったり、研修や試験の内容を難しくしてそもそもクリアできないようにするなどの手口がよく見られます。

Q・契約後に気付いた場合、どう対処したらよいですか。

A・このような内職商法は、特定商取引法において業務提供誘因販売取引とされており、クーリング・オフの対象となっています。
 したがって、クーリング・オフ期間内(契約書面の受領から20日以内)であれば、申込み後でもお金を取り戻せる可能性があります。


 

● その他の手口について

 

Q・いろいろな手口があるんですね。

A・ほかにもフィッシング詐欺やファーミング事案などの手口があります。
 詳細を知りたい方は、警視庁の「情報セキュリティ広場」に掲載されていますので、ご覧下さい。
 被害にあった場合は、慌てて一人で対処するようなことはせずに、周囲の人や消費生活センター、専門家などに相談するようにして下さい。