
2 外国人と相続
第15.2(3)外国人と相続③
次に、具体的に遺産分割がどのように行われるかについて、日本に長く在住されている韓国籍の方が亡くなられた場合について解説します。
● 相続人の範囲(韓国法)
Q・韓国籍の父が亡くなりました。母も韓国籍で、両親とも日本に長く在住し、子は私と弟の2人で、日本で生まれ育ちました。
なお、弟は父よりも早くに他界し、妻と子2人が日本に在住しています。
父の財産としては、日本に土地・建物と預金があります。
誰が相続人となりますか。
なお、弟は父よりも早くに他界し、妻と子2人が日本に在住しています。
父の財産としては、日本に土地・建物と預金があります。
誰が相続人となりますか。
A・「被相続人の本国法」である韓国法では、
第1順位は、被相続人の直系卑属(子)
第2順位は、被相続人の直系尊属(親、親がない場合は祖父等)
第3順位は、被相続人の兄弟姉妹
第4順位は、被相続人の4寸(親等)以内の傍系血族
と定めています。
被相続人の配偶者は、第1、第2順位の相続人と同順位で共同相続人となり、第1、第2順位の相続人がいないときは単独相続人となります。
また、被相続人の直系卑属や兄弟姉妹が、被相続人よりも前に死亡していた場合には「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)が生じるとされています。
したがって、あなたの母親と、子であるあなた、それと亡くなった弟の代襲相続人が、相続人となります。
第1順位は、被相続人の直系卑属(子)
第2順位は、被相続人の直系尊属(親、親がない場合は祖父等)
第3順位は、被相続人の兄弟姉妹
第4順位は、被相続人の4寸(親等)以内の傍系血族
と定めています。
被相続人の配偶者は、第1、第2順位の相続人と同順位で共同相続人となり、第1、第2順位の相続人がいないときは単独相続人となります。
また、被相続人の直系卑属や兄弟姉妹が、被相続人よりも前に死亡していた場合には「代襲相続」(だいしゅうそうぞく)が生じるとされています。
したがって、あなたの母親と、子であるあなた、それと亡くなった弟の代襲相続人が、相続人となります。
Q・韓国法でも代襲相続が認められているのですね。
日本法では、代襲相続人は弟の子2人となりますが、韓国法ではどうですか。
日本法では、代襲相続人は弟の子2人となりますが、韓国法ではどうですか。
A・韓国法では、子のほかに配偶者も代襲相続人となるとされています。
● 相続分(韓国法)
Q・各自の相続分はどうなりますか。
A・同順位の相続人の相続分は均等です(代襲相続人となる弟の妻子の相続分は、弟の相続分によります)。
ただし、被相続人の配偶者の相続分は、
直系卑属と共同相続の場合は、直系卑属の相続分の5割を加算し、
直系尊属と共同相続の場合は、直系尊属の相続分の5割を加算する、
とされています。
ですので、あなたの母親の相続分は、あなたや弟の相続分の5割を加算して各自の相続分を算出することとなります。
ただし、被相続人の配偶者の相続分は、
直系卑属と共同相続の場合は、直系卑属の相続分の5割を加算し、
直系尊属と共同相続の場合は、直系尊属の相続分の5割を加算する、
とされています。
ですので、あなたの母親の相続分は、あなたや弟の相続分の5割を加算して各自の相続分を算出することとなります。
● 遺産分割の方法
Q・遺産分割はどのように行うのですか。
A・日本法の場合と同様、共同相続人はいつでも、その協議により相続財産を分割できます。
Q・相続人間で協議が整わない場合は、どのようにすればいいですか。
A・その場合、韓国法では、共同相続人は家庭法院(裁判所)に分割を請求できるとされています。
日本の家庭裁判所に、遺産分割の調停・審判の申立ができるかという「国際的裁判管轄権」の問題がありますが、被相続人である父親は長く日本に居住し、日本で死亡し、財産も日本にある等の事情があるので、日本の家庭裁判所への申立ができると考えられます。
日本の家庭裁判所に、遺産分割の調停・審判の申立ができるかという「国際的裁判管轄権」の問題がありますが、被相続人である父親は長く日本に居住し、日本で死亡し、財産も日本にある等の事情があるので、日本の家庭裁判所への申立ができると考えられます。