1 近隣の法律問題一般

第14.1 近隣の法律問題一般 (3)ペットをめぐるトラブル

● 娘が散歩中の犬にかまれた!

 

Q・3歳の娘が、散歩中の大きな犬に近寄っていったところ、突然、犬がほえて娘の腕にかみつき、娘がけがをしてしまいました。
 飼い主にはどのような責任がありますか。

A・動物の占有者は、動物の種類や性質に従い、相当の注意をもって管理していたことを証明しない限り、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任があるとされています(民法718条)。
 ふだんはおとなしい犬でも、他人に対しては警戒心が強かったり、何かの拍子に興奮することが指摘されています。
 リードをつけて犬を散歩させていたとしても、飼い主には、他の歩行者に危害を及ぼさないようにする注意義務があります。
 ※なお、家庭動物の管理については、環境省が「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」という告示を定めています。特に犬や猫について
具体的な管理基準が書かれているので参考にして下さい(環境省HP)。


 

● 被害者側の過失

 

Q・どのような損害賠償を請求できますか。

A・治療費のほか、通院交通費、治療期間に応じた慰謝料(精神的損害)、また、かまれた腕にあざが残るようであれば、後遺症として損害賠償の対象となる場合があります。

Q・治療費等の損害を全額、飼い主に請求できますか。

A・散歩中の犬に、娘さんの方から近寄っていったとすれば、娘さんに注意を促したり、娘さんの手をしっかりつないでいなかったあなたの側にも不注意があったと考えられます。
 その場合には、その過失の割合に応じて、相手に請求できる金額が異なってくることが考えられます。


 

● 保険の適用の有無

 

Q・保険会社から支払いを受けることはできないのでしょうか。

A・飼い主が傷害保険に加入している場合、日常生活で第三者に与えた損害について、保険の適用がある場合がありますので、確認してみてください。


 

● 飼い主が治療費等を支払わない場合

 

Q・飼い主が治療費等を支払ってくれない場合、どのように対処したらいいでしょうか。

A・簡易裁判所の調停や少額訴訟手続き、また弁護士会の仲裁センターなどの利用を検討されるといいでしょう。