4 児童虐待への対応~親権との関係

第13.4 児童虐待への対応~親権との関係

● 親権者を変更するケース

 

Q・2年前に妻と離婚し、妻が一人息子の親権者となりました。最近、元妻が新しい交際相手と同居するようになり、子どもが満足に食事を与えられないなど、虐待されているのではないかと心配しています。
 子どもの親権を私に変更してもらうことができますか。

A・家庭裁判所に「親権者変更の審判」を申し立てることができます。
 家庭裁判所は双方の意見を聞き、子どもの養育状況などを調査し、「子の利益のために必要がある」と判断した場合には、親権者変更の審判を行います。
 親権者変更の申立方法等については、裁判所のホームページをご覧下さい。

Q・審判まで、かなり時間がかかりそうですね。子どもに対する虐待がひどく、今すぐにでも、子どもを私のもとで生活させたいという場合には、何か方法はありますか。

A・家庭裁判所に「親権者変更の審判」を申し立てると同時に、
「審判前の保全処分」として、①親権者(元妻)の職務執行停止と、②あなたを職務代行者に選任するよう求めることができます。
 虐待がひどく、あなたが親権者の職務代行者の選任を受ければ、「親権者変更の審判」が出るまでの間、子どもをあなたのもとで生活させる
ことが可能となります。


 

● 両親による虐待から子どもを守るには!

 

Q・両親が2人とも子どもの面倒を見ることなく、また子どもに暴力を振るうなどの虐待を行っている場合に、例えば、祖母が代わって親権を行使できる方法はありますか。

A・祖母が孫と養子縁組をすれば、親権を取得することができます。
 しかし、未成年者の養子縁組には、両親の承諾が必要とされています。

Q・それ以外に何か方法はありますか。

A・例えば、両親の親権を喪失させた上で、祖母が孫の未成年後見人となることによって、事実上、親権者と同様の権限を持つことが可能です。
 家庭裁判所に「親権喪失の審判」を申し立て、「父母が親権を濫用し又は著しく不行跡である」と認められた場合に、親権喪失の審判がされます。
 ただ、親権喪失は親権を完全に剥奪するものであり、戸籍に「親権喪失宣告の裁判確定」と記載される等、強力な方法ですので、慎重に検討する必要があります。

Q・両親の親権を喪失させることなく、祖母が法的にも孫の面倒をみていく方法はありませんか。

A・家庭裁判所に「監護権者指定の審判」を申し立て,祖母を孫の「監護権者」に指定してもらうという方法があります。
 その申立ができるのは、法律上「父母」とされており、祖父母は申立権者と定められていません。しかし、裁判例には、父母以外の親族等に申立権を認めたものもあります。