3 いじめ問題

第13.3 いじめ問題

● 「いじめ」とは?

 

Q・子どもが学校でいじめに遭い、学校に行きたくないと言っています。話を聞くと、友だちどうしの悪ふざけのようでもあり、困惑しています。
 どのように対処したらいいでしょうか。

A・仮にいじめた側(「いじめ加害者」)が悪ふざけのつもりだったとしても、いじめられた側(「いじめ被害者」)が精神的苦痛を感じていれば、それは「いじめ」にあたります。
 平成25年に公布されたいじめ防止対策推進法で、「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいうとされています。
 いじめかどうかは、いじめ被害者の立場に立って判断するということです。


 

● いじめへの対処

 

Q・もともと学校が大好きな子なので、何らかの対処をしてあげたいと思います。
 学校側には、どのようなことを求めていけばいいでしょうか。

A・いじめは“いじめ加害者が100%悪い”という前提で、学校側として、いじめ加害者に適切な指導を行うよう求めるべきです。
 いじめ加害者が反省しない場合、いじめが繰り返されるおそれがあります。
 いじめ加害者が抱える問題(どうしてそのような行動をとるのか)を解決しながら、いじめ加害者に反省を促していくよう、学校側に対処を求めることが大切です。
 また、お子さんが学校に安心して通えるようにするために、クラス担任の交代や、副担任などサポート教員の常駐、クラス替え、一時的に保健室登校を認めてもらう等の措置を求めることも考えられます。

Q・その他、どのような対処が考えられますか。

A・学校が十分な対処をしてくれない場合には、公立学校の場合には教育委員会、また、私立学校の場合には学校の理事会や理事長、さらに都道府県の学事課等に申し出や相談をしてみるとよいでしょう。
 また、いじめ加害者の親とも会って実情を話し、対処を求めることが有効となる場合があります。
 いずれにしても、子どもの問題に対しては、親が毅然とした態度で臨むことが重要です。そのような親の態度を、子どもさんも見ています。
 親子ともどもに乗り越えていくことが、大きな解決へとつながります。


 

● いじめは人権侵害!

 

Q・学校側の対処が悪いときなどに、何か訴え出る方法はありますか。

A・いじめは人権侵害の1つですので、弁護士会の人権救済申立制度や法務局の人権擁護委員会への相談・救済制度を利用することが考えられます。
 たとえば、同級生から継続的に暴行を受けるといういじめへの対処を学校に求めていたにもかかわらず、学校は何らの措置も取らず、かえって両親の訴えが誇大であるかのような態度を示したため、いじめにあった児童が不登校になり、転校を余儀なくされたとして、弁護士会に人権救済の申立がなされたという事例があります。
 これに対し、弁護士会は、学校の態度は児童に対する重大な人権侵害にあたると認定し、学校長に対し、いじめ対策を直ちにとる体制を確立するとともに、再び人権侵害を繰り返さないよう警告しました。

Q・あまりにひどいいじめの場合には、加害者の親などに損害賠償を求めることもできますか。

A・具体的には、いじめ行為の態様や期間、頻度、人間関係、力関係などの諸事情によりますが、いじめ行為が相当程度強い場合には、損害賠償が認められます。
 たとえば、約1年間にわたり毎日のように首締めや、殴る・蹴る等の暴行を加えたうえ、教科書や文房具を隠匿したり、恐喝行為を繰り返していたという場合に、損害賠償が認められたという裁判例があります。
 しかし、プールの授業中に同級生に乗りかかられて溺れそうになったという事案では、その行為はプール授業時特有の、児童の開放的な心理状態の下で行われたふざけ合いの範囲内の行為であるとして、損害賠償は認められないとされた裁判例もあります。