第10.親子関係

第10.7 子どもの手続代理人制度

● 子の手続代理人制度の創設

 

Q・親が行う離婚調停や、子との面会交流を求める調停などは、子に対する影響が大きいわ。
 それらの調停では、家庭裁判所の調査官が子の意見を聴く場合も多いと聞くけど、子が直接、調停に参加するということはできないのかしら。

A・平成25年に施行された家事事件手続法では、子に影響が及ぶような一定の家事調停や家事審判について、子の手続保障という観点から、子自身が、法定代理人によらずに、手続への参加ができるとされた。
 だから、小学校高学年くらいになれば、自ら調停等に参加して、自分の意見を述べたりすることだってできる。

Q・そうは言っても、子が自ら調停等に参加するというのは大変ね。

A・親とは別に、子は自分の「手続代理人」として弁護士を選任することができる(私選)。
 必要が認められる場合は、裁判長が、申立てにより、弁護士を手続代理人として選任する制度(国選)もできたんだ。


 

● 子の手続代理人の活動

 

Q・子の手続代理人は、具体的にどのような活動をするの。

A・子自身の意見表明を援助するための活動をすることになるよ。
 単に子の意思を伝達するだけでなく、子との面談や記録の閲覧、裁判所や関係者との意見交換・情報共有などを積極的に行い、その子が置かれている具体的状況を理解した上で、その子にとっての最善の利益を目指して活動するんだ。

Q・父母からは独立して、純粋に子の利益のために活動するのね。

A・子の手続代理人には、双方の親に、子どもの利益を中心とした話し合いを促すという役割もあるよ。
 例えば、離婚後の面会交流の頻度や方法、休日や長期休暇の際の面会交流の持ち方、学校行事が重なった場合の面会交流の取扱い、子の受渡しの方法など、具体的な調停案を父母に提案し、合意を促すことも行う。

Q・他にはどのような活動を行うのかしら。

A・子に対して、面会交流が認められそうかとか、認められるとして頻度は何回くらいになりそうだ等、手続の進行状況や事件の見通しについての情報を提供し、子が自分の意思を形成するための手助けをするよ。
 また、子が疑問に思ったことや、困っていることなどについて、相談があった場合の対応などを行うことも大事な役割だ。


 

● 子の手続代理人の費用負担

 

Q・子の手続代理人の費用は誰が負担するのかしら。費用を負担できるような子はあまりいないと思うわ。

A・私選の場合は、子自身の負担となる。
 国選の場合も、原則は子の負担となるけど、子に資力がない場合には、裁判所が親に負担させるというケースが多くなると思うよ。