1 子の認知

第10.1 子の認知

● 認知とは

 

Q・婚約相手の子どもを出産したけど、結局相手とは結婚しなかったという場合、子どもの生活費や学費は、当然、相手に請求できるわよね。

A・相手が子どもを「認知」したかどうかで異なるよ。

Q・認知とはどういうものなの。

A・認知とは、結婚していない男女の間に生まれた子どもについて、血縁上の父親が自己の子どもであると認める行為のことだ。
 認知によって、初めて、出生の時にさかのぼって法律上の親子関係が認められるので、その養育費等の請求権も法律上認められる。
 しかし、認知されていない場合には、法律上の親子関係とは認められず、したがって養育費等の請求権が認められないので、注意が必要です。


 

● 認知の方法

 

Q・認知はどのようにすればいいの。

A・子どもの父親が、自分の本籍地等の市区町村に「認知届」を提出する方法で行うよ。
 (認知は子どもが成人となった後もできるが、その場合は、子どもの承諾が必要。)

Q・認知をすると、戸籍の記載はどうなるの。

A・婚姻外に生まれた子どもは、母親の戸籍に入り、母親の氏を称している。
 認知をする前は、子どもの父親欄は空白となっている。
 それが、父親が認知することにより、子どもの戸籍の父親欄に、父親の名前が記載されることになるよ。
 (父親の方の戸籍には、子どもを認知したことが記載される。)

認知しただけでは、子どもの戸籍が父親の方に移るわけではないのね。


 

● 子どもの親権

 

Q・認知をすると、子どもの親権はどうなるの。

A・認知をする前は、法律上の親は母親だけだから、親権も母親にある。
 認知をすると、法律上父子関係ができるけど、この場合も、子どもの親権は母親が行うものとされている。
 ただし、父親と母親の協議により、父を親権者と定めることもできるよ。


 

● 認知してもらえない場合

 

Q・子どもの父親が認知してくれない場合は、どうしたらいいの。

A・その場合は、少し面倒だけど、子どもから父親に対して「認知の訴え」を起こすしかないんだ。
 当然、子どもが未成年の場合には、親権者である母親が、子どもの代理人となって、訴えを起こすことになるよ。

Q・認知の訴えは、いつまでに起こさなければならないの。

A・いつでも提起することが可能だよ。
 ただし、子どもの父親が死亡した日から、3年を経過したときは、訴えを提起することができなくなるから注意が必要だ。


 

● 扶養義務の発生など

 

Q・認知によって、母親は子どもの養育費を請求できるようになるのね。
 母親が養育費を請求しないという場合、子ども自身からも父親に何か請求できるのかしら。

A・法律上の親子関係があるから、幼い子どもは父親に対し、扶養料の請求ができるよ。

Q・法律上の親子関係があるということは、逆にいえば、将来子どもが大きくなった場合には、父親に対する扶養義務も生じる場合があるということね。
 認知をすることで、その他、どのような効果が生じるかしら。

A・例えば、子どもが未成年者の場合には、父親は子どもに面会を求める権利が生じる。
 また、父親が亡くなった場合、子どもは第1順位の相続人となる(逆に、父親が子どもの相続人となる場合もある)。