2 著作物を利用する際の注意事項

第9.2 著作物を利用する際の注意事項

● 私的使用のための複製

 

Q・最近購入した小説が面白かったので、母に読ませるためにコピーをとってあげることは、著作権侵害になるのでしょうか。

A・コピーをとることは著作物の複製にあたり、本来は著作権者の許諾が必要です。しかし、著作権法は、著作物の公正な利用を図るという観点から、様々な例外を設けています。
 そのひとつとして、個人的に又は家庭内といった限られた範囲内で使用する目的であれば、使用する本人が複製することが認められています。母のためにコピーをとってあげることは、著作権侵害にはなりません。

Q・安心しました。
 私はよく、購入した音楽CDを、自分のパソコンに取り込んで聴いています。これも、本当は複製にあたるけど、同じように、著作権法上は問題ないということですね。

A・そのとおりです。

Q・コピーガード機能がついているDVDの複製も、私的使用のためであれば著作権侵害にはなりませんか。

A・ガード機能が付いた著作物について、その機能を回避するということは、単なる複製とは認められません。その場合は、著作権侵害となりますので注意が必要です。


 

● 教育機関における著作物の利用

 

Q・高校の定期試験を作成しようと思っています。新聞の社説を題材に問題を作成するにあたって、社説を書いた人や新聞社の許可は必要ですか。

A・いいえ、その場合は必要ありません。
 学校の授業のために、公表された著作物を利用することは、著作権者の許諾なく行うことができるとされています。
 ただ、その場合でも、○○新聞の社説であることなどの「出所」を明示することが望ましいでしょう。
 なお、同じ試験問題でも、例えば、予備校が有料で行う模擬試験など、営利目的で利用する場合は、勝手に利用することはできません。


 

● 著作物の引用方法

 

Q・出版物や論文の中で、他の文献から引用をする場合には、どのような注意が必要でしょうか。

A・引用も、一定限度で許容されています。
 具体的には、引用部分にカギ括弧を付けるなどして、引用部分とそうでない部分とを明確に区別できるようにすることが必要です。
 また、出版物や論文の中身のほとんどが引用であるなどということも許されません。他の文献を引用しながらも、その出版物や論文自体に創作性が認められることが必要です。

Q・引用された文献について、題名や作者名を記載する必要はありますか。

A・はい。引用した著作物の題名、作者名、出版社名、頁数など、出所を明示する必要がありますので、注意して下さい。