
3 労働契約法の改正
第8.3 労働契約法の改正 (1)労働契約法の改正
● 労働契約法とは
Q・平成25年4月1日から、改正された労働契約法が施行されています。そもそも、労働契約法とはどのような法律なのですか。
A・労働契約法とは、労働者と使用者の間の労働契約に関する基本的な事項を定めた法律で、平成20年3月1日から施行されています。
労働契約法では、解雇権の制限や就業規則の効力など、これまでの裁判で示された法理が明文化されています。
労働契約法では、解雇権の制限や就業規則の効力など、これまでの裁判で示された法理が明文化されています。
Q・労働基準法とは違うのですか。
A・労働基準法は、労働条件の最低基準を設定することによって、一定水準の労働環境を確保し、労働者を保護するのが目的であるのに対して労働契約法は、労働契約の成立や変更の場面のルールを定めることにより、個別的な労働関係を安定させることが目的とされています。
つまり、労働基準法は、使用者全般に対して基準を守るよう要求するいわば、公的な分野にあたる法律であるのに対して、労働契約法は、労働契約に関する個別の紛争を解決するための指針となるいわば、私的な分野にあたる法律なのです。
そのため、労働基準法には、違反した場合における罰則がありますが、労働契約法には、そのような罰則の定めはありません。
つまり、労働基準法は、使用者全般に対して基準を守るよう要求するいわば、公的な分野にあたる法律であるのに対して、労働契約法は、労働契約に関する個別の紛争を解決するための指針となるいわば、私的な分野にあたる法律なのです。
そのため、労働基準法には、違反した場合における罰則がありますが、労働契約法には、そのような罰則の定めはありません。
● 無期労働契約への転換
Q・平成25年からは、どのような点の改正が施行されていますか。
A・有期労働契約における、いわゆる雇止めの不安を解消し、安心して働けるようにするため、有期労働契約が反復更新されて、その「通算契約期間」が5年を超えたとき、労働者の申込みにより、期間の定めのない無期労働契約に転換できるというルールが導入されました。
Q・平成19年4月1日から、期間4年の有期労働契約を結んで、1度更新されているような場合、平成25年4月1日時点で既に通算6年になるのですが、このような場合において、労働者から申し込めば、無期労働契約になるのですか。
A・いいえ。平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象となります。
したがって、質問のケースでは、更新後の契約期間が満了した翌日の平成27年4月1日から、通算契約期間のカウントがスタートします。
また、有期労働契約と、その次の有期労働契約の間に、契約のない空白期間が6ヶ月以上あるときは、その空白期間以前の有期労働契約は、通算契約期間にカウントされません。
したがって、質問のケースでは、更新後の契約期間が満了した翌日の平成27年4月1日から、通算契約期間のカウントがスタートします。
また、有期労働契約と、その次の有期労働契約の間に、契約のない空白期間が6ヶ月以上あるときは、その空白期間以前の有期労働契約は、通算契約期間にカウントされません。
Q・有期労働契約から無期労働契約に転換した場合、無期労働契約の労働条件は、どのようになりますか。
A・別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。
● 不合理な労働条件の禁止
A・また、いわゆる正社員と非正規社員の格差を是正するため、仕事の内容・責任には違いがないのに、期間の定めがあるかどうかで労働条件に格差を設けることを禁止するルールもあわせて施行されています。
Q・どのような労働条件をいうのでしょうか。
A・賃金や労働時間だけではなく、災害補償や福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれるとされています。
労働条件の相違が不合理かどうかは、個別に判断されますが、通勤手当や安全管理などについて労働条件を相違させることは、特段の理由がない限り、不合理な相違であるとされるでしょう。
労働条件の相違が不合理かどうかは、個別に判断されますが、通勤手当や安全管理などについて労働条件を相違させることは、特段の理由がない限り、不合理な相違であるとされるでしょう。