2 派遣労働

第8.2 派遣労働 (1)派遣労働の開始

● 派遣労働とは

 

Q・「派遣労働」とはどのようなものですか。

A・派遣労働とは、派遣元企業と派遣先企業の労働者派遣契約に基づき、派遣元企業に雇用された労働者を、派遣先企業の指揮命令下で労働させる労働形態をいいます。
 もともと、自分が雇用した労働者を他の事業主に供給することは、賃金のピンハネにつながるため、職業安定法で原則的に禁止されていますが、1985年の労働者派遣法で、例外的に制度化されました。

Q・派遣社員と派遣先企業との間には、雇用関係はないのですね。

A・はい。派遣先企業は、その指揮命令下で派遣社員を労働させるだけです。
 派遣社員の労働契約の内容は、あくまで雇用主である派遣元企業との間で決せられます。


 

● いわゆる偽装請負

 

Q・派遣労働について、偽装請負の問題が指摘されることがありますが、どういう点が問題なのですか。

A・請負契約の形式を取りながら、実際には請負人側の労働者が、注文主の指揮命令を受けて労働に従事している場合があります。
 派遣労働の場合であれば、労働者派遣法の適用があり、例えば、派遣の職種に制限があったり、労働者の危険防止措置や、労働時間管理などの規制により、労働者の地位や安全が保護されます。
 法律の規制を逃れるために、請負契約を偽装している場合があるので、注意が必要です。


 

● 派遣労働の開始

 

Q・私の予定派遣先の企業が派遣労働開始前に面接を行い、私は派遣不適格とされてしまい、派遣社員となることができませんでした。
 派遣先企業が事前に面接をすることに問題はないのでしょうか。

A・労働者派遣法では、派遣先企業が、受け入れる派遣労働者を事前に特定しないよう務めなければならないとされています。
 具体的には、厚生労働省告示では、履歴書の送付や、事前面接、年齢制限などを禁止しています。
 したがって、派遣先から事前の面接を求められたりした場合には、それを断ることができます。