1 労働問題一般

第8.1 労働問題一般 (7)解雇

● 解雇を言い渡された!?

 

Q・社長から、「今日で会社を辞めてもらうので、明日から来なくていい」と言われました。どうしたらよいのでしょうか?

A・まず、社長の話が、退職の強要をしているだけなのか、解雇を言い渡したものかを、確認する必要があります。
 退職の強要にすぎない場合は、あなたが承諾しなければ会社を辞める必要はありません。

Q・社長に確認したところ「解雇だ」と言われました。

A・会社は、あなたをいつでも解雇できるわけではありません。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念に照らして相当と認められない場合は、その解雇は無効です。
 そこで、あなたに対する解雇がどのような理由でなされたのか、その理由が明確に示されているのかを確認してください。


 

● まず解雇の理由を確認

 

Q・社長はいろいろなことを言っており、よく分かりません。

A・会社に対し、解雇理由を書面で明らかにするよう求めて下さい。
 解雇を言い渡された場合において、労働者が解雇理由の証明書を請求した場合には、法律上、会社はこれを遅滞なく交付しなければならないとされています。
 しかも、会社は解雇理由について、就業規則の条項の内容や、その条項に該当するとされた事実関係についても明らかにしなければなりません。


 

● 普通解雇

 

Q・解雇が有効と認められるのは、どのような場合ですか。

A・普通解雇、整理解雇、懲戒解雇など、解雇の種類によって異なります。
 まず、普通解雇の解雇事由については、通常、就業規則に規定があります。例えば、
 (1)業務能力が著しく劣り、または勤務成績が著しく不良の場合や、
 (2)労働者の私傷病による欠勤が一定期間以上にある場合で、休職期間満了時点でも復職が困難なとき、といった例が挙げられます。
 ただ解雇が有効かどうかは、様々な事情から判断されます。


 

● 整理解雇

 

Q・会社の業績が悪くも倒産必至という場合には、整理解雇もやむを得ないと判断される場合が多いのでしょうか。

A・整理解雇が有効となるかどうかは、一般的には、以下の4つの要件から判断されます。
 (1)人員削減の必要性が存在するかどうか
 (2)解雇を回避するための努力を会社が尽くしたかどうか
 (3)解雇をされる者の選定基準や方法が合理的かどうか
 (4)事前に、説明・協力義務を会社が尽くしたかどうか
 会社として最大限の努力をしているか、社員に対し、公平な観点から、また誠意をもって対処しているか、が問われることになります。


 

● 懲戒解雇

 

Q・服務規程に違反した場合には、懲戒解雇もやむを得ないのでしょうか。

A・通常、就業規則には、懲戒事由、懲戒処分の内容、その手続きが記載されています。懲戒解雇はその最も重い懲戒処分です。
 あなたが犯した服務規程違反の行為がどのようなものか、それが懲戒解雇に相当するものなのか、懲戒処分の手続きが適正になされているのか、が厳格に判断される必要があります。


 

● 解雇予告手当

 

Q・解雇予告手当というのは、どういうものですか。

A・会社は、労働者を解雇するとき、少なくとも30日以上前に労働者に予告しなければなりません。また、この予告をしないで解雇するには、少なくとも30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として労働者に支払う義務があるとされています。
 ※平均賃金とは、直前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額(ただし、例えば、夏と冬だけに支給されるボーナスなどは含まれません)を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額。
 ただし、整理解雇の場合は、様々な解雇の条件が示される場合が多いと思われますので、それに従うことになります。
 また、懲戒解雇の場合には、労働基準監督署長の認定がある場合に限って、会社は解雇予告手当の支払義務を免れるとされています。