法律相談Q&A 
1 労働問題一般

第8.1 労働問題一般 (6)転勤命令・産前産後の休業

● 転勤命令

 

Q・現在、東京支店に勤務しています。先日、会社から、来年は福岡支店に転勤になると言われました。
 転勤命令には従わないといけないのでしょうか。

A・会社が従業員に転勤の命令を出すためには、就業規則や労働協約、個別の労働契約書等に規定があることが必要です。もっとも、その内容は、「業務上の必要がある場合、配置転換を命じることができる」といった程度でも十分であるとされています。
 このような規定がある場合、原則として会社の転勤命令には、従わなければなりません。

Q・例えば、採用時に会社と交わした書類に、「勤務地は東京支店に限る」と記載されている場合はどうですか。

A・その場合には、勤務地限定の合意があるものとして、あなたの同意がない限り、会社は東京支店以外への転勤を命じることはできません。

Q・そのような勤務地限定の合意がなかった場合には、会社の転勤命令には従わなければならないということですか。

A・転勤の命令も、権利の濫用にあたり無効となる場合があります。
 権利の濫用にあたるかは、
 (1)業務上の必要性の有無
 (2)人員選択の合理性の有無
 (3)会社に不当な動機・目的(例えば嫌がらせ目的)があるか否か
 (4)その従業員の不利益の程度
 などから総合的に判断されます。

Q・(4)の、従業員の不利益の程度では、家庭の事情も考慮されるのですか。

A・例えば、重病の家族と同居中でその介護が必要であるといった事情があるなど、「家庭の事情」も判断要素の1つとして考慮されます。


 

● 産前産後の休業

 

Q・私は現在妊娠中で、半年後に子供が生まれる予定です。会社が産休を認めてくれるか心配です。

A・妊娠中の労働者は、出産予定日の6週間前から(多胎妊娠の場合は14週間前から)休業を取得する権利があります。
 また産後は、実際の出産日の翌日から8週間、休業を取得する権利があります。

Q・会社からは、業務が多忙なので、出産予定日の5週間前までは出社して欲しいと言われています。この場合は出社をしなければならないのですか。

A・会社は、業務多忙や人手不足などの理由があっても産休の請求を拒むことはできません。

Q・逆に、上記の産休の期間内でも私が働きたいと言えば会社は拒むことができないのですか。

A・会社側は産休を強制することはできません。
 ただ、産後6週間については、強制休業となっているためあなたが働きたいといっても会社は働かせることはできません。

Q・産休中でも賃金は保証されますか。

A・残念ながら、法律上は有給を保証する規定はありません。
 ただし、就業規則や労働協約等により有給を保証している企業も多いので確認してみてください。
 また、会社から賃金が支給されない場合でも、健康保険から一定額の出産手当の支給を受けることはできます。
 具体的には、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について、1日について標準報酬日額(※)の3分の2が支給されます。なお、会社から産休期間に賃金が支給される場合は、その賃金の額を控除した額が手当として支給されます。
 ※「標準報酬日額」とは、健康保険・厚生年金保険で定められている標準報酬月額を30で割った金額です。
 なお、標準報酬月額については、全国健康保険協会や日本年金機構などのホームページで確認できます。

Q・産休をとることで、会社から不利益な扱いをされないかが心配です。

A・産休をとったことで会社が不利益な扱いをすることは禁止されています。
 例えば、産休期間中及びその後30日間は、何を理由にするにしても解雇をすることはできません。
 また、産休取得を理由とする解雇も禁止されています。