
1 労働問題一般
第8.1 労働問題一般 (4)退職金
● 退職金の定めが無い場合でも、支給が認められる場合がある
Q・勤務先から、うちの会社には退職金規程がないから退職金は支給できないといわれました。規程がなければ請求は難しいのでしょうか。
A・退職金は、労働契約、就業規則、労働協約等により、退職金支給についての定めがなければ、支給されないのが原則です。
Q・以前には、うちの会社を退職した人に退職金が支払われていたという話も聞いています。規程がなければ、支給する、しないは、会社の自由なのでしょうか。
A・明文による定めがなくても、これまで退職者に対しては、勤続年数に応じた退職金が支給されるなど、会社が一定の基準で退職金を支払ってきたという場合には、退職金の支給や支給基準等について労使慣行が存在しているとして、退職金請求が認められる場合があります。
● 死亡退職の退職金、誰に支給される?
Q・夫が死亡し、会社から私(妻)に死亡退職金が支給されました。
私たち夫婦には子どもがなく、相続人となった夫の兄弟から、死亡退職金を法定相続分に従って分けるよう求められています。死亡退職金も相続財産となるのでしょうか。
私たち夫婦には子どもがなく、相続人となった夫の兄弟から、死亡退職金を法定相続分に従って分けるよう求められています。死亡退職金も相続財産となるのでしょうか。
A・死亡退職金によって、「相続財産」と扱われる場合と、「遺族の固有の権利」と扱われる場合があります。
判例では、死亡退職金を受給できる権利者が誰であるか、またその順序等が、法令・労働協約・就業規則等で明確に規定されている場合には、その受給権者の「固有の権利」であって、「相続財産」には当たらないとされています。
死亡退職金の受給権者がどのように定められているのか、会社に確認してみて下さい。
判例では、死亡退職金を受給できる権利者が誰であるか、またその順序等が、法令・労働協約・就業規則等で明確に規定されている場合には、その受給権者の「固有の権利」であって、「相続財産」には当たらないとされています。
死亡退職金の受給権者がどのように定められているのか、会社に確認してみて下さい。
● 退職金請求権の時効
Q・就業規則には、退職日に退職金を支給すると定められているのに、会社から待つように言われ、すでに3年を経過しています。
賃金は2年で消滅時効にかかると聞いていますが、今でも退職金を請求することはできますか。
賃金は2年で消滅時効にかかると聞いていますが、今でも退職金を請求することはできますか。
A・退職金の消滅時効期間は5年です。賃金とは異なりますので安心して下さい。
時効期間が経過してしまうおそれがある場合には、会社から、退職金の支払い約束の書面をもらうなど、時効中断の措置をとっておく必要があるでしょう。
時効期間が経過してしまうおそれがある場合には、会社から、退職金の支払い約束の書面をもらうなど、時効中断の措置をとっておく必要があるでしょう。