1 労働問題一般

第8.1 労働問題一般 (2)賃金②<賃金引き下げ等>

● 給料の一方的な減額は違法

 

Q・私は、基本給30万円を支給されていましたが、会社の業績悪化を理由に、先月から基本給を20万円に下げられてしまいました。
 業務内容、役職、拘束時間等は全く変わっていないのに、給料を下げることなど、認められないのではないでしょうか。

A・原則として、働いている人が同意していないのに、会社が一方的に賃金を減額することはできません。

Q・社長にそのように話して、従来どおりの給料を請求したところ、「就業規則を変更したから、給料の引き下げは有効だ」と言われました。
 就業規則を変更すれば、勝手に給料を減額できるのでしょうか。

A・働いている人の個別の合意がなくても、就業規則の変更により例外的に賃金を下げることが認められる場合があります。
 もとより、就業規則の変更が合理的なものと認められる必要があります。
 合理的と認められるかどうかは、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度や、使用者側の変更の必要性・程度等々によって、個別具体的に判断されることになります。


 

● 賃金から損害賠償金等の相殺はできない

 

Q・業務で会社の車を運転中に、接触事故を起こしてしまいました。
 幸い大きな事故ではなかったので、会社は保険を使わずに、被害者に10万円を支払って示談しました。
 ところが、後になって会社から、この示談金を私に支払うよう、請求を受けました。
 もちろん、私の不注意が原因ですが、私は会社に支払わなければならないのでしょうか。

A・例えば、飲酒運転による事故など、あなたに重大な過失がある場合は別として、会社の業務中の事故であれば、全額をあなたに負担させることは不公平となる場合が多いと思います。

Q・会社からは、月2万円ずつ給料と相殺すると言われています。

A・仮に、あなたが一部を負担すべきだとしても、会社が一方的に賃金と相殺することは、法律上許されません。