3 犯罪被害者

第7.3 犯罪被害者 (6)被害回復給付金支給制度

● 被害回復給付金支給制度

 

Q・高額医療費の還付金が支給されると称して、銀行のATMからお金を振り込ませるという振り込め詐欺の被害に、伯母が遭いました。最近、その詐欺の一団が摘発され、一斉に起訴されました。
 何かお金を取り戻す方法はあるでしょうか。

A・「被害回復給付金支給制度」によって、被害額の一部が返ってくる可能性があります。

Q・それはどのような制度ですか。

A・組織的犯罪処罰法の改正(平成18年12月)により、詐欺罪や恐喝罪、ヤミ金等による高金利受領罪等の犯罪行為が組織的に行われた場合や、被害財産が偽名口座等に隠匿されたような場合に、その「犯罪被害財産」を刑事裁判により犯人からはく奪(没収・追徴)できるようになりました。
 その犯罪被害財産を金銭化し、それを被害者等に支給する制度です。


 

● 給付金の支給を受けるには

 

Q・伯母がその給付金の支給を受けるには、どうすればいいですか。

A・犯罪被害財産をはく奪する裁判が確定すると、検察官が「支給対象となる犯罪行為の範囲」を定め、支給手続きが開始されます。
 伯母さんが被害者として把握されていれば、検察官から支給手続きについての連絡があります。
 被害者として把握されていない場合でも、支給手続きが開始されたことや、支給対象となる犯罪行為の範囲については、検察庁のホームページや官報で確認することができます。
 ※ホームページでは、犯行時に振込先として使用された銀行口座が公開されますので、伯母さんが被害にあった際の振込先口座と照らし合わせれば、支給対象に含まれているかどうか確認できます。


 

● 支給手続の申請方法

 

Q・申請手続はどのように行うのですか。

A・検察官宛に申請書を提出します。
 ホームページに、問合わせ先や申請書の書式が掲載されているので、そちらを利用するとよいでしょう。
 申請すると、検察官が、伯母さんが支給対象となる被害者かどうか、その被害がいくらになるか、審査します。

Q・被害に遭ったことを証明するための資料は必要ですか。

A・預金通帳や、振込した際のATMの利用明細など、犯罪に使用された口座に送金したことや、振り込んだ金額を示す資料を、申請時に提出するとよいでしょう。
 それらの資料がない場合でも、被害状況などを詳しく説明したメモなどを作成することによって、被害者として判断してもらえる場合があります。

Q・申請はいつまでにすればよいですか。

A・申請の受付は、被害回復給付金支給手続の開始後2ヵ月から3ヵ月程度で終了します。ホームページ等で確認して下さい。


 

● 被害回復給付金が支給されるまで

 

Q・審査結果は、どのようにして分かりますか。

A・検察官が郵送で通知します。
 各人への支給額が決まれば、あらかじめ申請書に記載しておいた伯母さん名義の預金口座に給付金が振り込まれます。