3 犯罪被害者

第7.3 犯罪被害者 (3)被害者参加制度

● 被害者参加制度とは

 

Q・犯罪の被害者が刑事裁判に直接参加することはできるのでしょうか。

A・本来、刑事裁判では、訴追する側の検察官と、防御する側の被告人・弁護人が当事者とされ、被害者は当事者ではありません。
 それが、光市母子殺害事件などを機に、犯罪被害者の意見を刑事裁判に反映させるべきとの機運が高まり、平成20年2月、「被害者参加制度」が採用されるに至りました。
 これにより、一定の事件の被害者については、裁判所の許可を受け、裁判に参加できるようになりました。

Q・被害者参加制度の対象となるのは、どのような事件ですか。

A・殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた事件や、強姦・強制わいせつ、自動車運転過失致死傷などの事件です。

Q・被害者本人以外は、被害者参加制度は、利用できないのですか。

A・被害者が死亡の場合や、心身に重大な故障がある場合には、その配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹などの方々が利用できます。
 この制度を利用して参加する方は、裁判において、「被害者参加人」と呼ばれます。


 

● 被害者参加人の権限

 

Q・被害者参加人には、どのような権限が認められるのですか。

A・具体的には、
 (1)裁判の法廷内での出席、
 (2)検察官に意見を述べ、説明を求めること、
 (3)証人に対する尋問、
 (4)被告人に対する質問、
 (5)最終意見陳述をすること、
 ができます。

Q・裁判には参加したくても、被告人と直接対面するのは避けたいという場合はどうしたらよいでしょうか。

A・裁判所の決定により、被害者と被告人との間に「つい立て」などを置く、「遮へい措置」をとってもらうことができますので安心です。

Q・どのような場合に、遮へい措置が認められますか。

A・犯罪の性質、被害者参加人の年齢、心身の状態、被告人との関係などの事情を考慮して、被害者参加人が精神の平穏を著しく害するおそれがあり、裁判所が相当と認める場合に、遮へい措置をとることができるとされています(被告人の弁護人が出頭している場合に限ります)。


 

● 被害者参加制度を利用するには

 

Q・被害者参加制度を利用するには、どうすればいいですか。

A・担当の検察官に参加の申出をしてください。
 検察官が裁判所に通知を行い、裁判所が相当と判断して許可した場合に、参加することができます。


 

● 被害者も弁護士への依頼が可能

 

Q・被害者参加制度を利用する場合、参加人が弁護士を依頼することはできますか。

A・できます。
 弁護士を選任する資力がない場合でも、裁判所が弁護士を選定し、国がその費用を負担する「国選被害者参加制度」の利用ができる場合があります。

Q・国選被害者参加制度を利用するには、どうすればいいですか。

A・日本司法支援センター(法テラス)に申し出て下さい。
 日本司法支援センターを通じて、裁判所に対して選定請求が行われ、国選被害者参加弁護士が選任されます。