法律相談Q&A 
2 少年の刑事事件

第7.2 少年の刑事事件 (4)少年事件報道

● 少年法による少年事件報道の規制

 

Q・少年法では、少年事件報道について規制していると聞いたことがあります。具体的にはどのような規制がされているのですか。

A・少年法61条は、
 (1)家庭裁判所の審判に付された少年、または、
 (2)少年のとき犯した罪により公訴を提起された者
 について、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等により、その少年が事件の当事者であることを推知させるような記事または写真を新聞紙やその他の出版物に掲載してはならないと規制しています。

Q・では、そのような裁判所の審判等にはまだ至っていない、例えば、逮捕直後の少年などについては、何も規制されていないのですか。

A・少年法の条文上では、規制がないことになります。
 しかし、それでは少年やその家族の名誉・プライバシーを保護し、それにより少年の更生を図ろうとした少年法61条の趣旨が有名無実化するおそれがあります。そのため、裁判所の審判等に至っていない段階でも、少年法61条の適用があると解釈すべき、との強い意見もあります。
 なお、少年法61条と同様の趣旨から、警察官が捜査を行う際に守るべきルールとされる犯罪捜査規範では、少年の氏名などは報道機関に発表しないものとする旨定められています。
 少年を逮捕した際に開かれる警察の記者会見で、「少年A」などと発表されるのはそのためです。

Q・少年が通う学校の映像などから、どこの誰だかが分かってしまうような場合も多いのではないでしょうか。
 記事や写真が、少年が誰であるかを「推知させる」ことがないかどうかは、どのように判断されるのですか。

A・平成15年3月14日の最高裁の判決は、その記事等を見る「不特定多数の一般人」を基準に判断すべきであるとしました。
 そのため、記事や写真から、その少年と面識がある「多数」の人が、「あの少年だ」と知るような状況があったとしても、少年と面識などがない「不特定」多数の一般人からみれば、その少年が事件の当事者であると推知できなければ、少年法61条には反しないことになります。
 これについては、少年法の趣旨に反するという批判も少なくありません。


 

● 少年法の規制に違反した場合

 

Q・「不特定多数」の一般人を基準に、少年が事件の当事者であると推知される報道がされた場合、報道機関には何かペナルティがあるのですか。

A・少年法61条違反を理由とする罰則はありません。
 これは、報道機関がもつ、憲法上保障された表現の自由とのかねあいから、罰則による強制までは行わないという趣旨によるものです。
 ただし、その報道によって、少年の名誉やプライバシーを侵害した場合には、民事上の損害賠償責任が生じる可能性があります。