2 少年の刑事事件

第7.2 少年の刑事事件 (1)少年の犯罪行為と捜査等

● 未成年の子どもが逮捕された!

 

Q・高校2年生の息子(17歳)が、電車内で痴漢をしたとして現行犯逮捕されました。今後の手続きはどうなるのでしょうか。

A・刑事責任年齢は14歳以上とされていますので、基本的には成人と同様に、「被疑者」として、逮捕後48時間以内に検察官に身柄が送られ(送検)、さらに身柄拘束の必要があると判断されれば、24時間以内に裁判所に「勾留請求」がなされます。

Q・「勾留」とは、どういうものですか。

A・住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ等がある場合に、犯罪捜査のため、警察の留置場等に身柄を拘束する措置です。まず10日間の勾留決定がなされ、さらに必要があれば10日を超えない範囲で延長されます。
 ただ、少年(20歳に満たない人)の場合は、成人とは異なった配慮がなされ、「やむを得ない場合」でなければ勾留請求できないとされています。「やむを得ない場合」かどうかは、少年の年齢・非行歴といった少年の資質や、事件の重大性・複雑性などをもとに判断されます。


 

● 家庭裁判所への全件送致

 

Q・捜査の結果、痴漢の事実は間違いないようです。この後、息子はどうなるのでしょうか。

A・事件に関係する書類、拠物その他参考資料は家庭裁判所に送られることになり、少年本人も家庭裁判所による調査を受けます(家裁送致)
 少年の刑事手続きについて定めた少年法は、犯罪を犯した少年を全て家庭裁判所に送致するものとしています(全件送致主義)。

Q・成人の場合、被害者と早期に示談し、起訴猶予となって釈放されたり、あるいは、罰金の処罰を受けて終了となったりすると聞きます。
 少年の場合は、どうして家裁への全件送致主義を採用しているのですか。

A・確かに成人と比べ、かえって少年に不利と見える場合があります。
 しかし、少年は心身が未成熟のため、様々に失敗もありますが、周囲の適切な助言・指導によって、更生・成長も早いのが特徴です。そのため、その失敗に対して、刑罰を科すというのではなく、教育的措置を講じていくという観点が必要です。
 また、家庭の問題を含んでいる場合も多々あります。
 このような観点から、成人の場合とは異なり、家庭裁判所が少年の処遇を判断するものとされています。


 

● 14歳未満の少年の行為は犯罪にならない

 

Q・14歳未満の少年の場合はどうなりますか。

A・14歳未満の少年の行為は「犯罪」にはなりませんので、逮捕・勾留されることはありません。
 少年法では、14歳以上20歳未満の罪を犯した少年を「犯罪少年」と呼ぶのに対し、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年を「触法少年」と呼び区別しています。

Q・逮捕・勾留されないとすると、どうなりますか。

A・警察官が家庭裁判所の審判によることが適当と考えたときは、児童相談所に送致されます。
 さらに、児童相談所は、調査の結果、家庭裁判所の審判が適当であると判断した場合には、都道府県知事または児童相談所長が家庭裁判所に送致します。