
1 成人の刑事事件
第7.1 成人の刑事事件 (4)裁判手続
● 裁判には、どれくらいの時間がかかる?
Q・幸い、夫は保釈が認められて身柄が解放されました。
これから裁判が行われるということですが、裁判が終わるまでには一体、どのぐらいの時間がかかるのでしょうか。
これから裁判が行われるということですが、裁判が終わるまでには一体、どのぐらいの時間がかかるのでしょうか。
A・検察官は裁判所に起訴状(きそじょう)を提出していますが、そこに書かれている犯罪事実(「公訴事実」といいます)に争いがない場合ですと、通常は1回程度の審理で終了し(「結審」といいます)、約2週間前後で判決が言い渡されます。
また、事実に争いがない事件だと、1回の審理にかかる時間は、おおよそ1時間程度です。
また、事実に争いがない事件だと、1回の審理にかかる時間は、おおよそ1時間程度です。
Q・テレビなどでは裁判が終わるまで何年もかかっているケースがあるようですが。
A・例えば、被告人が事実関係を争ったり、責任能力を争うなどして、無罪を主張するような場合ですと、証人尋問や精神鑑定といった様々な手続を行う必要があります。
そのため、1回だけでは審理が終わらず、審理を終えるまで何度も期日を重ねる必要が出てきます。
また、事実関係に争いがない事件でも、死刑判決が定められているような重大事件の場合ですと、慎重な審理を要しますから、期日が数回にわたることもあります。
そのため、1回だけでは審理が終わらず、審理を終えるまで何度も期日を重ねる必要が出てきます。
また、事実関係に争いがない事件でも、死刑判決が定められているような重大事件の場合ですと、慎重な審理を要しますから、期日が数回にわたることもあります。
● 裁判では証拠の取り調べが行われ、判決が言い渡される
Q・裁判ではどういったことが行われるのでしょうか。
A・第1審の裁判では、1人または3人の裁判官が審理します。
冒頭、検察官が起訴状に書かれている「公訴事実」を読み上げます。
この「公訴事実」には、被告人が、いつ、どこで、どういう犯罪を起こしたのかが記載されていて、これが審理の対象になります。
その後、裁判所から被告人に対して黙秘権の告知があり、続けて読み上げられた公訴事実に間違いがあるかどうかが確認されます。
裁判所は弁護士(「弁護人」と呼ばれます)にも同じように意見を聞き、これら被告人や弁護人の意見を踏まえて、その後の審理が行われます。
冒頭、検察官が起訴状に書かれている「公訴事実」を読み上げます。
この「公訴事実」には、被告人が、いつ、どこで、どういう犯罪を起こしたのかが記載されていて、これが審理の対象になります。
その後、裁判所から被告人に対して黙秘権の告知があり、続けて読み上げられた公訴事実に間違いがあるかどうかが確認されます。
裁判所は弁護士(「弁護人」と呼ばれます)にも同じように意見を聞き、これら被告人や弁護人の意見を踏まえて、その後の審理が行われます。
Q・その後は、どのような審理が行われるのですか。
A・検察官は、被告人が起訴状に記載された公訴事実の犯罪を起こしたことを立証するため、供述調書などの捜査資料や証人尋問といった証拠の取り調べを裁判所に求めます。
これに対し、弁護人は、争いがある場合には検察官が提出した証拠等に対し反対意見等を述べ、また、被告人に有利な事実を立証するための証拠調べの申し立てなどを行います。
また、検察側が証人尋問等を行うときは、弁護側は、その証言が信用できないことを明らかにする等、被告人の側に立った活動をします。
これに対し、弁護人は、争いがある場合には検察官が提出した証拠等に対し反対意見等を述べ、また、被告人に有利な事実を立証するための証拠調べの申し立てなどを行います。
また、検察側が証人尋問等を行うときは、弁護側は、その証言が信用できないことを明らかにする等、被告人の側に立った活動をします。
Q・なるほど。しかし、今回、私の夫は罪を認めています。こうした場合、弁護士は何をするのですか。
A・被告人が事実を認めて争わない場合でも、被告人に有利な証拠を提出し、実刑判決(服役することになります)の可能性がある事件について執行猶予付き判決を求めたり、またできる限り刑が軽くなるような活動をします。
例えば、被害者がいる事件では、被害者に対する被害弁償がどの程度なされているか、また被害者との間で示談が成立しているか否かが、判決結果に大きく影響します。この、被害者との示談交渉が、弁護人として重要な活動になります。
また、弁護人として、今後被告人が二度と罪を犯す可能性がないことを明らかにするため、被告人の勤務先の社長や、親兄弟等に協力頂き、今後被告人を指導・監督していく旨の上申書を作成・提出したり、また裁判所に出席してもらい証人尋問を行うといった活動も重要です。
例えば、被害者がいる事件では、被害者に対する被害弁償がどの程度なされているか、また被害者との間で示談が成立しているか否かが、判決結果に大きく影響します。この、被害者との示談交渉が、弁護人として重要な活動になります。
また、弁護人として、今後被告人が二度と罪を犯す可能性がないことを明らかにするため、被告人の勤務先の社長や、親兄弟等に協力頂き、今後被告人を指導・監督していく旨の上申書を作成・提出したり、また裁判所に出席してもらい証人尋問を行うといった活動も重要です。
● 判決に執行猶予が付けば、刑務所に収監されることはない
Q・結局、夫に対しては、懲役1年6ヶ月・執行猶予3年とするとの判決が言い渡されました。この執行猶予とはどういうことなのでしょうか。
A・ニュースでも「執行猶予が付いた」との報道を目にしますね。
執行猶予というのは「刑の執行を猶予する」という意味です。
懲役1年6ヶ月・執行猶予3年という判決の場合、本来であれば1年6ヶ月は刑務所で服役しなければならないところ、執行猶予が付くことにより、3年間は刑務所に入らなくてよくなります。
執行猶予というのは「刑の執行を猶予する」という意味です。
懲役1年6ヶ月・執行猶予3年という判決の場合、本来であれば1年6ヶ月は刑務所で服役しなければならないところ、執行猶予が付くことにより、3年間は刑務所に入らなくてよくなります。
Q・3年が経った後はどうなるのですか。
A・無事に何事もなく3年が経過した場合には、懲役1年6ヶ月との判決は言い渡しがなかったものとされ、刑務所に入る必要はなくなります。
他方、執行猶予期間中に、再び別の犯罪を起こして、再び懲役刑を言い渡されると、執行猶予が取り消されることがあります。
執行猶予が取り消されると、新たに言い渡された別の犯罪の刑と、先に言い渡しを受けた1年6ヶ月の懲役刑とを合わせて服役しなければならないことになります。
ですので、今後は車の運転も含めて、くれぐれも慎重に生活するようにして下さい。
他方、執行猶予期間中に、再び別の犯罪を起こして、再び懲役刑を言い渡されると、執行猶予が取り消されることがあります。
執行猶予が取り消されると、新たに言い渡された別の犯罪の刑と、先に言い渡しを受けた1年6ヶ月の懲役刑とを合わせて服役しなければならないことになります。
ですので、今後は車の運転も含めて、くれぐれも慎重に生活するようにして下さい。