1 法定後見制度

第6.1 法定後見制度

● 認知症の診断、父親の財産をどう守る?

 

Q・父が初期の認知症の診断を受けました。今後の介護と、また父が所有する自宅、アパート、預貯金の管理などが心配です。

A・認知症や、精神障害、知的障害などで判断能力が不十分の方について、その財産管理や療養看護について保護・支援を行う「法定後見制度」の利用を考えてみてはいかがでしょうか。


 

● 「後見人」「保佐人」「補助人」

 

Q・「法定後見制度」について、具体的に教えて頂けますか。

A・家庭裁判所に申立を行い、本人の判断能力の度合いに応じて、「成年後見人(せいねんこうけんにん)」「保佐人(ほさにん)」「補助人(ほじょにん)」を選任してもらい、本人の財産管理の代理や同意、取消しなどを行います。


 

● 「成年後見人」の事務

 

Q・成年後見人は、どのような場合に選任され、どのような職務を行うのですか。

A・認知症が進行し、判断能力を常に欠く状態になったような場合には、成年後見人が選任されます。
 成年後見人は、不動産管理や預貯金の管理など、本人の財産に関する全ての行為を、本人の法定代理人として行います。
 本人が行った不利益な行為(日常生活に関する行為を除きます)についても取消す権限があります。
 また成年後見人の職務は、本人の療養看護についてまで及びますので、その責任は重大です。


 

● 「保佐人」「補助人」の事務

 

Q・認知症がそこまで重度でない場合にはどうなりますか。

A・判断能力の度合いによって、保佐人、補助人が選任されます。
 保佐人が選任された場合には、借金や保証、不動産売買など、一定の行為を行う場合には、保佐人の同意が必要となり、保佐人の同意なくなされた行為(日常生活に関する行為を除きます)は、事後的に取り消すことが可能となります(これを保佐人の同意権、取消権といいます。なお、特定の法律行為について代理権が付与される場合もあります)。
 補助人の場合は、家庭裁判所が定める特定の行為について、補助人に同意権、取消権や代理権が与えられます。
 「2 法定後見の申立」では、法定後見制度の申立や審判の手続などについて説明します。