法律相談Q&A 
4 年金分割

第4.4 年金分割

● 平成19年4月から、離婚時年金分割という制度が開始

 

Q・夫と離婚の話がまとまりつつありますが、離婚による年金分割という制度があることを耳にしました。その内容を知りたいのですが。

A・平成19年4月以降に離婚した場合、厚生年金や共済年金を分割できる「離婚時年金分割」という制度が始まっています。
 日本では、老後の年金の平均額が男性約200万円に対し、女性は50~80万円という年金格差がありましたので、これを是正するために、このような制度が導入されました。


 

● 「夫の年金の半分」がもらえるわけではない

 

Q・年金分割によれば、最大50%まで分割してもらえると聞いたのですが、私は、夫の年金の半分がもらえるのですか。

A・いいえ。この点は、誤解が多いのですが、夫の年金額のまるまる半分がもらえるわけではないので注意して下さい。
 分割されるのは、結婚から離婚までの期間の「給料と賞与の記録」です。
 厚生年金や共済年金の保険料は、標準報酬月額と標準賞与額をもとに計算され、この額は社会保険庁で個人ごとに記録され、年金額を計算する際に使われます。
 離婚時年金分割では、夫と妻それぞれの標準報酬の合計額を求め、多い人から少ない人に記録の一部を分割することになります。

Q・私は婚姻後、しばらくは仕事を続け、自分で厚生年金に加入していました。子供ができた後は退職し、専業主婦となりました。年金分割はどうなりますか。

A・まず、社会保険庁に申請して「年金分割のための情報通知書」をもらって下さい。
 そこに、婚姻期間中の夫婦各人の「給料と賞与の記録」が記載されています。
 それをもとに、夫婦で話し合って「按分割合」を決めて下さい。


 

● 夫婦の話し合いで按分割合を決めて年金分割の請求をする

 

Q・「按分割合」というのは何ですか。

A・分割を受ける人の分割後の持分の割合を「按分割合」といいます。
 夫婦が公平に年金を取得するようにするためには、按分割合を「0.5」、すなわち50%と定めることになります。
 話し合いで「按分割合」が決まったときは、公証役場に出向き、「公正証書」または「公証人の認証を受けた私署証書」を作成して、社会保険庁に年金分割の請求をして下さい。
 そうすれば、将来、各自が年金を受給する年齢に達した時に、その「按分割合」を前提にした年金を受けることができます。

Q・按分割合について、話がまとまらない場合はどうするのですか。

A・家庭裁判所(調停・審判・裁判)で按分割合を決めることになります。


 

● 3号年金分割は自動的に年金記録を50%に分割する

 

Q・夫婦の合意や裁判所の決定がなくても分割できる年金分割もあると聞いたのですが。

A・例えば、夫が厚生年金または共済年金に加入している20歳以上60歳未満の妻で、夫に扶養されている人は、国民年金の第3号被保険者になります。
 この第3号被保険者である妻は、平成20年4月以降に離婚する場合、平成20年4月以降の第3号被保険者であった期間の、夫の厚生年金と共済年金を分割できます。
 これを3号年金分割といい、夫婦の合意や裁判所の決定がなくても、例えば、妻が請求しただけで、按分割合50%として自動的に分割されます。


 

● 3号年金分割の対象は「平成20年4月以降の婚姻期間」の年金だけ

 

Q・3号年金分割の場合は、先ほどの離婚時年金分割の手続は不要となるのですか?

A・いいえ、そうではありません。
 3号年金分割の対象になるのは、「平成20年4月以降の婚姻期間」に対応する年金だけです。それ以前の婚姻期間に対応するものは、やはり離婚時年金分割の手続をとる必要があります。


 

● 年金分割の対象は、厚生年金または共済年金のみ

 

Q・厚生年金や共済年金ではなく、国民年金だけの場合も年金分割の対象になりますか。

A・いいえ、年金分割の対象は、厚生年金または共済年金のみです。
 なお、厚生年金または共済年金は、国民年金のいわゆる上乗せ部分ですから、年金分割をしても、夫婦各人において、国民年金の年金受給資格を満たしていなければ、そもそも年金を受給することはできません。この点は注意が必要です。