3 お金の問題

第4.3 お金の問題

● 夫婦が共同で築いた財産を分け合うのが財産分与

 

Q・財産分与の考え方を教えて下さい。

A・財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分け合うことです。
 たとえ夫名義であっても、夫婦で協力して築いたものであれば、財産分与の対象になります。
 これに対し、婚姻前から所有していたものや、親からの贈与・相続によって得たものは、各自の固有財産であり、財産分与の対象になりません。

Q・具体的にどのようなものが財産分与の対象になりますか。

A・現金、預貯金、住宅等の不動産、自家用車、株券等の有価証券、など一切の財産に及びます。


 

● 住宅ローン付きの不動産の場合

 

Q・結婚後に、夫名義でマイホームを取得しましたが、まだ住宅ローンが残っています。
 財産分与はどのように考えるのですか。

A・基本的には、不動産の時価から住宅ローンの残額を差し引いたものが、財産分与の対象財産となります。
 しかし、住宅ローンの残額の方が不動産の時価を上回る、いわゆるオーバーローンの場合でも、子供を含めた扶養の観点から、夫の側がローンを払い続け、離婚した妻と子が、住宅に住み続けるというケースもあります。


 

● 支給が確実な退職金も財産分与の対象になる

 

Q・退職金も財産分与の対象になるのですか。

A・婚姻期間に見合う分が、財産分与の対象になると考えられます。
 すでに支給されたものはもとより、6年後に支払われる退職金について、受給が確実だとして、分与を認めた例があります。


 

● 専業主婦でも2分の1は請求できる

 

Q・私は、ずっと専業主婦をしていて収入がありませんが、どれくらい財産分与を請求できるのですか。

A・現在の実務では、2分の1ルールといって、妻が専業主婦の場合でも財産を半分に分けることを原則に処理することが多いようです。
 家事労働に加えて、八百屋・スーパーなど自営の家業に協力し、財産形成に貢献してきた場合は、なおさらです。


 

● 夫と不倫の相手の2人に対して慰謝料を請求できる

 

Q・夫の不倫が原因で離婚する場合、慰謝料はどれ位請求できますか。

A・夫の不貞等の行為の態様や程度、これにより被った精神的ダメージの程度、婚姻期間の長短、当事者の社会的地位や収入等、状況によって様々ですが、裁判例では、200万円から500万円といった例が多いようです。

Q・不倫相手の女性にも慰謝料を請求できますか。

A・妻子がある男性と知りながら不倫をしていた女性にも当然に責任がありますから、請求できます。


 

● 電話番号が分かれば、住所を調査できることも

 

Q・不倫相手の女性については、夫の携帯電話に残っていた電話番号しか分からないのですが、そのような場合、どうしたらいいですか。

A・弁護士会照会という方法で電話会社に問い合わせることにより、電話番号から契約者の氏名・住所等を特定することができる場合があります。
 弁護士に相談してみてください。


 

● 請求権の時効に注意

 

Q・財産分与と慰謝料の請求権に時効はありますか。

A・離婚に伴う財産分与は離婚の時から2年間で、慰謝料は不貞の事実を知った時から3年間で時効にかかります。
 早めに請求した方がよいでしょう。