法律相談Q&A 
4 マンションの管理・運営

4 マンションの管理・運営 (3)管理規約の設定と変更

● マンション管理規約の効力

 

Q・マンションの1階部分が店舗になっており、その区分所有者(店舗のオーナー)がテナントに貸し出しています。
 しかし、テナントが遅くまで営業しているため、最近、近隣から騒音の苦情が多く出ています。
 店舗の営業時間を制限する方法はありますか。

A・管理規約で、店舗の営業時間を制限するという方法があります。

Q・店舗を営業しているのは、区分所有者ではなくてテナントなのですが、
  管理規約の効力は、区分所有者以外にも及ぶのでしょうか。

A・管理規約は、マンションを適切に維持管理していくためのルールなので、共用部分の管理方法のみならず、専有部分の管理・使用方法も定めることができます。
 そして、管理規約のうち、建物等の使用方法に関する事項については、マンションの一室の賃借人や、店舗部分のテナントなどにも効力が及びます。


 

● 管理規約の設定・変更手続

 

Q・1階の店舗の営業時間を制限したい場合、具体的には、どのような手続きを取ればいいのですか。

A・店舗部分の営業時間に関して管理規約を設定すれば、営業時間を制限することができます。
 また、すでに営業時間に関して規定がある場合は、その規定を変更することで制限することができます。
 法律では、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議で原則として、規約の設定、変更、廃止が可能とされています。

Q・管理組合総会で決議すれば店舗部分の営業時間を制限できるということで、良いでしょうか。

A・はい。但し、ここで一点、注意が必要なことがあります。
 管理規約を設定・変更するにあたって、その内容が「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」は、その区分者の承諾を得なければならないとされています。

Q・では、承諾を得られない場合は、どうなりますか。

A・単承諾がない場合には、その規約の設定等は効力を生じません。
 今回のケースでも、店舗の営業時間を制限することで、テナントの営業希望時間に応えられないなどといった不利益が区分所有者(店舗のオーナー)に生じる可能性があります。

 

● 「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」とは

 

Q・「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、どんな場合をいうのですか。

A・管理規約の変更等によって一部の区分所有者が受ける不利益が、マンションの実態や規約の変更等の必要性及び合理性を考慮しても、当該区分所有者が受忍すべき限度を超えている場合とされています。
 不利益があるからといって、直ちに「特別の影響を及ぼす」とされるわけではありません。

Q・店舗部分の営業時間を制限する場合は「特別の影響を及ぼすべきとき」に当たりますか。

A・実際の裁判例で、1階店舗について夜12時以降を営業禁止としていたところを、夜10時以降禁止とする規約の変更決議について、「特別の影響を及ぼすべきとき」とされたものがあります。
 この裁判例では、店舗の営業によって他のマンション住民に迷惑が生じているといった事情がないことや、立地等の条件に照らし、営業時間の制約が、当該店舗の収益力や賃貸・売却時の価格を低下させる、といった事情が存在していたことが重視されました。
 店舗の営業時間を制限する場合は、これまでの店舗の営業内容等の実態を考慮した上で、他のマンション住民の利益とのバランスの取れた内容にする必要があります。
 事前に、店舗部分の区分所有者やテナントとよく協議することが良いでしょう。