
3 住まいの法律相談
第3.3 住まいの法律相談 (7)住宅購入後のトラブル
● 住宅の修補請求
Q・私は、3年前に、不動産業者から一戸建ての住宅を購入しました。
しかし、今年は雨が多いせいか、雨漏りがひどく、困っています。
不動産業者に、雨漏りの修理を求めることはできますか。
しかし、今年は雨が多いせいか、雨漏りがひどく、困っています。
不動産業者に、雨漏りの修理を求めることはできますか。
A・まずは、住宅を購入した際の契約書を確認してください。
住宅の購入といっても、建売住宅や中古住宅を「売買契約」で購入したのか、注文住宅を「請負契約」によって取得したのか、を確認する必要があります。
住宅の購入といっても、建売住宅や中古住宅を「売買契約」で購入したのか、注文住宅を「請負契約」によって取得したのか、を確認する必要があります。
● 売買契約と請負契約の違い
Q・売買契約と請負契約とで、何が違うのでしょうか。
A・取得した住宅に隠れた欠陥(これを「瑕疵」〈かし〉といいます)があった場合に、相手方に請求できる権利内容に違いがあります。
(この場合に相手方が負担する責任を「瑕疵担保責任」といいます。)
(この場合に相手方が負担する責任を「瑕疵担保責任」といいます。)
Q・どのように違うのですか。
A・請負契約で取得した住宅に瑕疵がある場合には、
①その修理の請求(瑕疵修補請求)
②損害賠償請求
ができます。
これに対し、売買契約で取得した住宅に瑕疵がある場合には、
①損害賠償請求
②瑕疵により契約の目的を達することができないときには契約解除
ができますが、
③修理の請求はできない
というのがこれまでの民法での原則とされていました。
①その修理の請求(瑕疵修補請求)
②損害賠償請求
ができます。
これに対し、売買契約で取得した住宅に瑕疵がある場合には、
①損害賠償請求
②瑕疵により契約の目的を達することができないときには契約解除
ができますが、
③修理の請求はできない
というのがこれまでの民法での原則とされていました。
● 新築住宅の場合は、特別法が適用される場合がある
Q・契約書を確認したところ、私の場合は、「新築の建売住宅」の「売買契約」ということが分かりました。
売買契約なので、雨漏りの修理は請求できないのですか。
売買契約なので、雨漏りの修理は請求できないのですか。
A・「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(「品確法」)の制定によって、平成12年4月1日以降に取得した「新築住宅」であれば、売買契約による取得であっても、一定の場合に瑕疵修補請求が認められるようになりました(請負契約による取得の場合も同様です)。
Q・どのような場合に、瑕疵修補請求ができますか。
A・①住宅の安全性にとって重要な部分(「構造耐力上重要な部分」)
②雨水の浸入を防止する部分
の少なくともいずれかの部分に欠陥があった場合には、瑕疵修補請求ができます。
あなたの場合は、新築住宅の売買契約で、しかも、雨漏りが生じているので上記②の部分に欠陥があると考えられますので、この「品確法」によって、雨漏りの修理の請求が可能と考えられます。
②雨水の浸入を防止する部分
の少なくともいずれかの部分に欠陥があった場合には、瑕疵修補請求ができます。
あなたの場合は、新築住宅の売買契約で、しかも、雨漏りが生じているので上記②の部分に欠陥があると考えられますので、この「品確法」によって、雨漏りの修理の請求が可能と考えられます。
● 瑕疵担保責任を負う期間を短くする定めは無効
Q・そうですか、安心しました。
しかし、先ほど売買契約書を確認したところ、「売主は住宅を引き渡したときから2年間しか瑕疵担保責任を負わない」と書かれていました。
私の場合、すでに3年が経過しています。瑕疵修補請求はできますか。
しかし、先ほど売買契約書を確認したところ、「売主は住宅を引き渡したときから2年間しか瑕疵担保責任を負わない」と書かれていました。
私の場合、すでに3年が経過しています。瑕疵修補請求はできますか。
A・「品確法」では、瑕疵担保責任を負う期間を、「目的物の引渡しから10年間」と定めています。
これは、新築住宅の請負人や売主側に重い責任を課すことにより、新築住宅の品質を確保しようとするものです。
その期間を短くするといった、注文者や買主側に不利な合意は無効です。安心して雨漏りの修理を請求して下さい。
これは、新築住宅の請負人や売主側に重い責任を課すことにより、新築住宅の品質を確保しようとするものです。
その期間を短くするといった、注文者や買主側に不利な合意は無効です。安心して雨漏りの修理を請求して下さい。
● 販売業者が修理に応じない場合
Q・新築住宅の販売業者に修理を求めたところ、「雨漏りの原因が不明なので、しばらく様子を見てください」といって、修理に応じてくれません。
裁判にかけるしか、手段はないですか。
裁判にかけるしか、手段はないですか。
A・裁判(訴訟)は、どうしても手間や費用がかかり、解決まで長期間を要する場合も少なくありません。
住宅紛争については、裁判以外の、簡易・迅速な解決のための手続きが利用できる場合があるので、検討してみて下さい。
住宅紛争については、裁判以外の、簡易・迅速な解決のための手続きが利用できる場合があるので、検討してみて下さい。
● 住宅紛争審査会の手続き
Q・具体的にどのような手続きがありますか。
A・ひとつは、「住宅紛争審査会」による紛争処理手続きです。
住宅紛争審査会は、各地の弁護士会に設置されています。
建築士や弁護士等のサポートにより、話し合いによって紛争の解決を目指す、国土交通大臣の指定を受けた機関です。
住宅紛争審査会は、各地の弁護士会に設置されています。
建築士や弁護士等のサポートにより、話し合いによって紛争の解決を目指す、国土交通大臣の指定を受けた機関です。
Q・住宅紛争審査会の紛争処理手続きを利用するメリットは何ですか。
A・①申し立て費用が1万円で安価
②欠陥の原因調査(鑑定)結果がそのための費用負担なしに得られる
③複数の専門家(建築士や弁護士等)の関与のもと、柔軟かつ妥当な解決案を提示してもらうことができる
④そのため、比較的早期に解決が得られる(平均で約7か月)
といった点が挙げられます。
申し立てのあった事件の約半数が、この手続で解決に至っているという点は見逃せません。
②欠陥の原因調査(鑑定)結果がそのための費用負担なしに得られる
③複数の専門家(建築士や弁護士等)の関与のもと、柔軟かつ妥当な解決案を提示してもらうことができる
④そのため、比較的早期に解決が得られる(平均で約7か月)
といった点が挙げられます。
申し立てのあった事件の約半数が、この手続で解決に至っているという点は見逃せません。
Q・それはいいですね。どの住宅紛争にも、その手続きは利用できますか。
A・一定の条件が必要です。
購入・注文住宅が、
①「建設住宅性能評価書」(「設計住宅性能評価書」では不可です)の交付を受けているか、
②「住宅瑕疵担保責任保険」に加入している
ことが必要です。
購入・注文住宅が、
①「建設住宅性能評価書」(「設計住宅性能評価書」では不可です)の交付を受けているか、
②「住宅瑕疵担保責任保険」に加入している
ことが必要です。
Q・住宅購入時にそのような評価書の交付を受けた、もしくは、保険に加入した覚えがないのですが・・・
A・この評価書や保険は、販売・請負業者が発行申請・加入するものです。購入時の書類をもう一度よく見て下さい。
あるいは販売業者・請負業者に問い合わせて見て下さい。
あるいは販売業者・請負業者に問い合わせて見て下さい。
● 裁判所の「調停」
Q・住宅紛争審査会の紛争処理手続きを利用できない場合は、どうしたらいいでしょうか。
A・裁判所に「調停」を申し立てるという方法があります。
この場合、欠陥の原因調査に費用や時間がかかることもあります。
しかし、建築士や弁護士が調停委員として調停手続きに加わる場合が多いので、当事者双方の意見を聞いたうえで妥当な解決案を示し、比較的、簡易・迅速に解決に至ることが期待できます。
裁判(訴訟)の前に、是非、これらの手続きを検討してみてください。
この場合、欠陥の原因調査に費用や時間がかかることもあります。
しかし、建築士や弁護士が調停委員として調停手続きに加わる場合が多いので、当事者双方の意見を聞いたうえで妥当な解決案を示し、比較的、簡易・迅速に解決に至ることが期待できます。
裁判(訴訟)の前に、是非、これらの手続きを検討してみてください。