
2 敷金に関するトラブル
第3.2 敷金に関するトラブル (1)敷金から差し引かれるもの
● 敷金トラブルの相談は年間1万件超!
Q・賃貸借契約終了の際に、貸主に預けてあった敷金の返還をめぐってトラブルとなることが多いという、新聞の特集記事を見たわ。
A・僕もその記事を見たよ。
国民生活センターの発表では、賃貸住宅の敷金、ならびに原状回復トラブルの相談件数は、年間1万件を超えているみたいだね(参照)。
国民生活センターの発表では、賃貸住宅の敷金、ならびに原状回復トラブルの相談件数は、年間1万件を超えているみたいだね(参照)。
Q・相談しない人もたくさんいるだろうから、実際のトラブルは、その何倍もの数に及ぶわね。
カーペットやクロスの張り替えなどの原状回復費用の名目で、敷金が全く返還されなかったり、逆に高額な請求がある例が多いみたい。
敷金のことは何となく知っているつもりだったけど、ちゃんと分かっていないから、教えてもらえないかしら。
カーペットやクロスの張り替えなどの原状回復費用の名目で、敷金が全く返還されなかったり、逆に高額な請求がある例が多いみたい。
敷金のことは何となく知っているつもりだったけど、ちゃんと分かっていないから、教えてもらえないかしら。
A・まかせてよ。
● 敷金から差し引かれるもの
Q・貸主に預けた敷金からは、どういったものが差し引かれるのかしら。
A・敷金は、未払い家賃や、借主が負担する一定の原状回復費用などの支払いを担保するためのものだよ。
だから、契約が終了して建物を明け渡した後に、これらの費用を差し引いた残金が返金されることになるよ。
だから、契約が終了して建物を明け渡した後に、これらの費用を差し引いた残金が返金されることになるよ。
Q・どのような場合に、原状回復費用を借主が負担することになるのかしら。
A・国土交通省作成の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になるんだ。
このガイドラインは、裁判例や取引等の実務を考慮して作成された原状回復に関する一般的な基準なんだよ。
このガイドラインは、裁判例や取引等の実務を考慮して作成された原状回復に関する一般的な基準なんだよ。
Q・知らなかったわ。そのガイドラインでは、どのような内容になっているのかしら。
A・このガイドラインでは
(1)借主の故意・過失
(2)借主の善管注意義務違反
(3)その他通常の使用を超えるような使用
による損耗や毀損については、借主が原状回復費用を負担することになるとされているよ。
それ以外の、たとえば
(あ)エアコンの品質低下など自然的な劣化・損耗などの「経年変化」や
(い)家具の設置による床やカーペットのへこみや跡など借主の通常の使用により生じる損耗などの「通常損耗」
の原状回復費用については、貸主が負担することになるんだ。
(1)借主の故意・過失
(2)借主の善管注意義務違反
(3)その他通常の使用を超えるような使用
による損耗や毀損については、借主が原状回復費用を負担することになるとされているよ。
それ以外の、たとえば
(あ)エアコンの品質低下など自然的な劣化・損耗などの「経年変化」や
(い)家具の設置による床やカーペットのへこみや跡など借主の通常の使用により生じる損耗などの「通常損耗」
の原状回復費用については、貸主が負担することになるんだ。
Q・どうして「経年変化」や「通常損耗」の原状回復費用は、貸主が負担することになっているのかしら。
A・賃貸住宅の賃料には、「経年変化」や「通常損耗」の回復費用が、通常含まれていると理解されているんだ。
だから、「経年変化」や「通常損耗」の原状回復費用を借主に負担させると二重の負担になってしまうから、貸主が負担することになっているんだ。
だから、「経年変化」や「通常損耗」の原状回復費用を借主に負担させると二重の負担になってしまうから、貸主が負担することになっているんだ。
● 「経年変化」の原状回復費用を借主負担とする特約の有効性
Q・でも、契約書で、ハウスクリーニングの費用を差し引くとされている例も多いわ。これって、「経年変化」や「通常損耗」の原状回復費用が含まれているわよね。そのような契約は有効になるのかしら。
A・たしかに契約自由の原則というルールがあるから、そのような特約が入っていることもあるよ。
ただ、借主にとっては特別の負担となることから、その有効性には一定の要件が必要なんだ。
つまり、前述のガイドラインでは
(1)特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
(2)借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
(3)借主が特約による義務負担の意思表示をしていること
の要件がある場合に限り、特約が有効になるとされているんだ。
ただ、借主にとっては特別の負担となることから、その有効性には一定の要件が必要なんだ。
つまり、前述のガイドラインでは
(1)特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
(2)借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
(3)借主が特約による義務負担の意思表示をしていること
の要件がある場合に限り、特約が有効になるとされているんだ。