4 損害賠償の種類・内容

第2.4 損害賠償の種類・内容

● 交通事故による損害

 

Q・交通事故による怪我で入・通院をした場合、加害者に対しては、どのような損害について、賠償請求できますか。

A・主なものとして、治療費、入院雑費、通院交通費、休業損害、慰謝料などが考えられます。
 症状等によっては、入通院の付添費や、将来の介護費、家屋改造費、また、後遺症が残る場合には、それによる逸失利益(いっしつりえき)、慰謝料についても、損害賠償の対象となります。
 また、壊れた自転車の修理費用なども損害となります。


 

● 治療費

 

Q・接骨院やカイロプラクティックの治療費も請求できますか。

A・症状によって、治療効果が認められるとして、それらの治療費の全部または一部が損害と認められた裁判例があります。
 しかし、保険会社との間でトラブルとなる場合がありますので、それらの治療を受ける場合には、事前に医師の指示を受けたり、また、保険会社とよく相談してください。

Q・入院中の特別室の費用は請求できますか。

A・症状が重篤であったり、空き室がなかった場合、また医師の指示があるといった特別の場合には認められます。


 

● 休業損害

 

Q・有給休暇を使用したので給料は減額されませんでした。
この場合も、休業損害は請求できますか。

A・その場合も休業損害として認められます。
 サラリーマンの場合は、事故前の3か月の平均収入が基準となります。

Q・専業主婦の場合、休業損害は認められますか。

A・受傷のため、家事労働に従事できなかった期間につき、休業損害が認められます。
 その場合、女性労働者の全年齢平均賃金(約370万円)をもとに、算定がなされます。


 

● 慰謝料

 

Q・慰謝料とは、どういうものですか。

A・精神的苦痛を受けたことについての損害をいいます。

Q・慰謝料はどのように算定されるのですか。

A・傷害に対する慰謝料は、入・通院の期間によって算定されるのが通常です。
 例えば、1ヶ月間入院後,2ヶ月間通院したという場合、慰謝料は、100万円程度、また、1ヶ月だけ通院したという場合には、30万円程度となります。
 ただし、むち打ち症で他覚症状がない場合には、通院期間が長くなった場合でも、全期間に応じた慰謝料が認められない場合があるので、注意が必要です。


 

● 後遺症

 

Q・後遺症とは、どういうものですか。

A・治療を継続してもこれ以上症状の改善、治癒が望めない状態となった場合に残存する障害をいいます。

Q・後遺症による逸失利益(いっしつりえき)とは、どういうものですか。

A・障害が残ったことにより、事故前のように仕事ができなくなった場合、将来に向けて収入が減少することになります。
 その減少分の損害を、逸失利益といいます。

Q・逸失利益はどのように算定されるのですか。

A・交通事故の場合には、損害保険料率算出機構もしくはその調査事務所が後遺症の等級認定を行います。
 その等級認定に応じて、労働能力喪失率が定められているので、それを基準として、労働能力喪失期間に応じた逸失利益を算定するのが通常です。
 将来の収入減少分を先取りして請求することになるため、「中間利息の控除」といって、ライプニッツ方式やホフマン方式といった、特殊な計算方式を用いて計算をします。

Q・後遺症が残った場合、傷害に対する慰謝料とは別に、後遺症に対する慰謝料が認められるのですか。

A・はい。その額は、後遺症の等級に従って算定されるのが通常です。