
3 従業員の事故の責任
第2.3 従業員の事故の責任
● 会社の責任
Q・会社の従業員が会社所有のトラックを運転中、不注意(過失)で人をはねてしまいました。会社はどのような責任を負うのでしょうか。
A・自動車損害賠償保障法(いわゆる自賠法)3条の運行供用者責任と、民法715条の使用者責任を負うことが考えられます。
Q・運行供用者責任とはどういうものですか。
A・これは会社の業務に限ったものではありませんが、その自動車の運行を支配し、運行によって利益を受ける者が、その運行によって他人の生命または身体を害した場合に、損害賠償責任を負うというものです。
Q・それでは、使用者責任とはどういうものですか。
A・これは自動車の運転に限ったものではありませんが、業務を行うに際し、従業員が過失により他人に損害を与えた場合には、使用者である会社も、従業員と同様の損害賠償責任を負うというのが、使用者責任です。
● 従業員が無断使用した場合
Q・業務時間外に、従業員が私用で、会社所有のトラックを無断で運転し、事故を起こした場合も、会社は責任を負いますか。
A・その場合でも、会社に運行供用者責任や使用者責任が認められる場合がありますので、注意が必要です。
過去にも、業務時間外に無断使用する事実があったとか、それを知りながら、会社が容認していたとか、また、キーの管理が厳格でなかったといったような事情がある場合には、会社に運行供用者責任や使用者責任が認められる傾向にあります。
過去にも、業務時間外に無断使用する事実があったとか、それを知りながら、会社が容認していたとか、また、キーの管理が厳格でなかったといったような事情がある場合には、会社に運行供用者責任や使用者責任が認められる傾向にあります。
● マイカーの業務使用の場合
Q・会社では従業員のマイカーの業務使用を一切禁止しています。
従業員がそれに反して、たまたま業務でマイカーを使用し、事故を起こしたという場合、会社は責任を負いますか。
従業員がそれに反して、たまたま業務でマイカーを使用し、事故を起こしたという場合、会社は責任を負いますか。
A・会社がマイカーの使用を禁止していた場合、会社はその運行を支配していないので、運行供用者責任は発生しないと考えられます。
しかし、業務を行うに際しての事故であれば、使用者責任は免れないと考えられます。
しかし、業務を行うに際しての事故であれば、使用者責任は免れないと考えられます。