2 遺言の法律問題

第1.2 遺言の法律問題 (3)遺言の執行

● 自筆証書遺言の検認を終えた後の手続き

 

Q・家庭裁判所で自筆証書遺言の「検認」手続きを行いました。
遺言には、
 (1)住んでいたマンション(時価1500万円)は息子に、
 (2)銀行預金(2500万円)は私に、
それぞれ相続させると書かれていました。
この後は、どうしたらいいでしょうか。

A・「遺言の執行」(遺言内容を実現すること)を行うことになります。
 (1)不動産(土地・建物)については、不動産登記を、息子名義に、相続を原因とする所有権移転登記手続を行います。
 (2)銀行預金については、預金名義の変更もしくは預金の払戻しを行います。


 

● 遺言の執行の進め方

 

Q・それぞれ、具体的にはどのように手続を進めていけばいいですか。

A・(1)については、息子に「相続させる」という遺言の場合には、息子自身が単独で、司法書士や弁護士に依頼して、相続登記の手続ができるとされています。

Q・(2)の預金についても、遺言には、私に「相続させる」とあります。
私自身が単独で、銀行の手続ができるのでしょうか。

A・預金の場合は、単独での手続はできません。
 不動産の場合とは異なりますので、注意が必要です。
 銀行からは、所定の用紙に、相続人全員の署名・押印を求められるのが通常です。
 (各金融機関によって、取扱実務や手続に必要な書類等が異なります。)

Q・預金の払戻し等の書類に、息子が署名・押印してくれるかどうか心配です。
協力を得られない場合は、どう対処したらいいですか。

A・その場合には、「遺言執行者」を選任してもらい、遺言執行者に手続きを行ってもらうことになります。