法律相談Q&A 
1 相続

1.相続 (3)相続放棄・限定承認

● 夫が死亡、借金だけが残った!

 

Q・夫が死亡しました。夫には数社のサラ金から約300万円の借金があります。
夫には、特に資産はありません。
私と子供2人ではとても返済できません。どうしたらよいでしょうか。

A・借金も相続の対象となります。
この場合、家庭裁判所で相続放棄の手続きをとることにより、債務の相続を免れることができます。
他方、相続放棄をした場合には、資産も相続できなくなるので、資産及び債務について、十分に調査しておく必要があります。
なお、サラ金の債務については、団体信用生命保険に加入している場合があります。死亡届の写しなどをサラ金に提出することで債務を免れる場合がありますので、確認してみて下さい。

● 相続放棄の手続き

 

Q・相続放棄の手続は、具体的にどのようにするのですか。

A・家庭裁判所に、相続放棄の申述書を提出して下さい。
戸籍(除籍)謄本、住民票の除票等の資料も添付する必要があります。申述書の用紙は家庭裁判所にあります。
裁判所のホームページで、申述書の書式をダウンロードすることができ、必要書類の確認もできますので利用するとよいでしょう。
裁判所のホームページ:http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html

Q・相続放棄は、いつまでにしなければならないのでしょうか。

A・相続開始を知った時から3ヶ月以内にする必要があります(この期間を「熟慮期間」といいます)。
資産や債務の調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に申し立てて、熟慮期間を伸長してもらうことができます。

Q・すでに3ヶ月経過した後に、サラ金から請求が来て、そこで初めて夫に債務があることを知った場合はどうすればいいのですか。

A・その場合には、例外的に、債務があることを知った時から3ヶ月以内であれば、相続放棄が認められる場合がありますので、諦めないで下さい。

● 注意しておこう

 

Q・私と子供が相続放棄した場合、夫の親や兄弟に迷惑をかけることはありませんか。

A・相続放棄をした人は、始めから相続人ではなかったものとみなされ、次順位の者が相続人となります。
したがって、第1順位の子供が相続放棄をすると、第2順位以降の、夫の親や兄弟が相続人となり、今度はそれらの者が相続放棄等の手続きをする必要が出てきます。

Q・相続放棄をした場合、夫の預金口座にあった僅かの預金を私たちの生活費にすることはできないのでしょうか。

A・僅かな預金でも、それをおろして使うなど、相続財産の一部を処分した場合には、相続を承認したものと見なされ、相続放棄が認められなかったり、相続放棄が無効となりますので、注意して下さい。

Q・夫の生命保険金を私が受領した場合、相続放棄は無効になりますか。

A・生命保険の受取人としてあなたが指定されていた場合や、「相続人」とされていたような場合には、生命保険金請求権は相続財産には含まれないとされています。
したがって、相続放棄には影響しませんので、安心して下さい。

● 限定承認

 

Q・夫に幾らかの不動産や預金がある場合、資産と債務と、どちらが上回るかが不明の場合はどうしたらよいですか。

A・相続人が、相続した財産の限度においてのみ、被相続人の債務を負うとする限定承認という手続きを裁判所に申し立てることができます。
家庭裁判所は相続人の中から相続財産管理人を選任し、相続財産管理人が相続財産を管理・処分し、債務弁済などの手続きを行います。
しかし、限定承認は、共同相続人全員で申し立てる必要がある上、手続きが複雑であり、また相続財産を売却する場合には、競売手続きによらなければならないとされていることなどから、実際には余り利用されていないというのが実情です。